青森県の食い物はしょっぱい!にちょっと反論してみる
何かと気になる青森県の塩分量問題でありますが、実際にどれだけ塩分を摂っているか?を調査するのは無理なので、塩分の感じ方の話でもしようかと。
食品の塩分量なんかを見て、こんな塩分が多いの?or少ないの?と感じたことはありませんか?
実は感じ方を(ある程度)コントロールできれば気付かないうちに減塩できたり、逆にあんまり食べていないはずなのに思ったより塩分を摂っているかも?…なんてことに気付いたりできるんですよ。
おもしろいことに、肉の質によっても必要な塩分の量は変わるそうなんですよね。
海外ではその感じ方をコントロールすることによって特許を取った30%減塩パンなんかがあるとか。
どちらかというと、普段からインスタント食品や袋麺ばかり食べている人が減塩するには?というよりも、断食をしている人とか少食で食事回数が少ない人が余計な塩分を摂らないようにすることに役立つかもしれません。
興味がある方は少しお付き合いいただければ。
ナトリウムを減らすには「代用品」「粒の大きさ」「しょっぱさを連想させる香り」をチェック
摂りすぎるとよくない!とされているナトリウムですが、減らすには3つの方法があります。
それぞれ見ていきましょう。
1.代用品
まず第1の方法が、カリウムやマグネシウムなどのしょっぱさがある物質をナトリウムと混ぜる方法です。
私はアルペンザルツやヒマラヤピンクソルトを使っているのであまり買わないんですが、カリウム塩とかマグネシウム塩という商品だそうで、カリウムはナトリウムの60%のしょっぱさがあるそうです。
が、カリウム塩は腎疾患のある方には影響があるそうなので、よく読んでからご購入を、とのことでした。
新たに買い足さないといけないため、優先度は低めですが。
2.粒のサイズ
1のやり方とうって変わって今すぐ実行に移しやすい方法なのが、これです。
「塩の粒をなるべく小さくして使ったほうが塩味を感じる」そうで、つまり、大きい粒の塩をパラパラと振るよりも、薄くとも全体的に味を付けたほうがよい、ということです。
当然舌に触れた分しか塩分を感じ取らないわけなので、味自体は薄いもののデカい塩の粒がついた料理やお菓子なんかは、感じた以上に塩分を摂る可能性があるわけですね。
でも、万遍なく細かい塩を振ったり、ブライン液などの調味液を使ったりすることで全体の塩分量を同じにしておけば、少なくともそういったことは起こりにくいと。
確かに、料理の塩分は0.8%がおいしいとされていますが、細かいサラサラした塩と粗塩だと全く勝手が異なりますよね。
私も自宅でチキンティッカ(もどき)を作るときは塩が一点に溜まって苦労しました。
出来上がった料理や茹で・蒸し肉に塩を振るのではなく、事前に味をつけておくのが良さそうです。
ちなみに精製塩がいいのかどうか問題はありますが、ミネラルがあるに越したことはないと思うのとあんまり味がよろしくないことを加味して、私は精製塩は使っておりません。
カルシウムやマグネシウムは体にいいけど、塩として添加されると体に悪い!というのは今のところなさそうなので、このまま。
3.しょっぱさを連想させる香り
これが最も効果があり、かつ重要かもしれません。
簡単に言えば、みなさんがしょっぱいと感じる食品の香りを付けると、脳がしょっぱいものがきた!と勘違いし塩味をより感じるということです。
人間が香りを感じるメカニズムはまだはっきりしていないそうですが、「体臭とチェダーチーズ」で述べた通り、事前に「これは○○ですよ」と言われる・認識すると脳の信号の伝わり方自体が変わり、しょっぱい香りがついていると脳がしょっぱい信号を送るそうです。
代表的なのが煮干し(orめざし)やベーコン、アンチョビに梅漬けですね。
味噌入れたての味噌汁がしょっぱく感じるのもコレかと。
で、数値としてこの香りづけにどのくらいの効果があったかといいますと、味を保ちながら25%減塩のソーセージを作ることに成功した例もあるそうなんですよ。
開発者が行ったこととしては、まずベーコンから24種類の芳香成分を分離し、どの成分が塩味の知覚を増強させるのか、しょっぱさを感じさせるのか調べたところ、3種類にその効果が確認されました。
その芳香成分が高い肉を使用したところ、ソーセージの味を落とさず25%の減塩に成功したと。
ちなみに2番目の塩の粒のサイズ変更を応用したソーセージでも15%の減塩に成功した(口膣内にジューシーな肉汁が溢れ出るようにした)そうなので、もしも合わせ技が決まったら「考えられないくらい低塩なのにおいしいソーセージ」ができあがるかもしれませんね。
一定以上は塩分がないと知覚が反応しない可能性があるそうですが、実現できたら素晴らしいですね。
ということでした。
まあ、いくつかの記事で青森のラーメンはしょっぱい!という意見が見られますが、煮干しとか醤油、サバの香りが強ければ、実数値以上にしょっぱく感じるように我々は人生の中で学習している、ということですね。
もちろん単純に塩分量が多い可能性もありますが…。
ちなみに実験してみたい方は「ただのカップヌードル」「カップヌードル シーフード」「麺づくり 鶏ガラ醤油」の3つ(これらでなくても結構ですが)を食べ比べてみるのがよいかと思います。
私はシーフード(線より1cmくらい上がベストかな?)と鶏ガラ醤油は薄めなくても大丈夫でしたが、ただのカップヌードルはお湯を1.5倍かちょい多めに入れてちょうどいいくらいでした(容器から溢れるんで丼に移す必要が)。
でも塩分量はシーフードと同じなんですよね。
これは私にとって「醤油はしょっぱいもの」であり、そして「しょっぱいものの香りが最も強かった」「その強い香りがいつも使っている醤油か、別のしょっぱい調味料に比較的近かった」ために起こった、と考えられるわけですね。
私は新しく買った醤油を料理に使う前に必ずスプーンにとって味見をするので、ダイレクトに醤油という味を学習していたわけですね。
これがもし、ちょっと塩辛めのイカやタコ、フュメド・ポワゾンなんかに馴染みがある人ならば、カップヌードル シーフードのほうがしょっぱく感じるかもしれないといった感じかと。
もちろん要因はこれだけではありませんが、ちょっと気にしていただけると減塩につながるかもしれませんので、参考までに。
私はコレが好きです。
人工甘味料は苦味とセット
じゃあ「塩分とかが少なけりゃ加工品でもいいのか」と思うかもしれませんが、やはりあまり加工されていないものがいいぞ、というお話を。
みなさんご存知、人工甘味料というものがありますが、腸を荒らすとか食欲が増すなどという効果に加えて、「苦味受容器を活性化させる」という作用があるそうです。
つまり、人工甘味料を摂ると何かしらの苦味や不快感も一緒に感じる可能性が高いと。
人間は苦味受容器だけ数が多く、おそらく外界の毒に対応するためだそうなんですが、確認されただけでも15種類ほどだそう(しかも人それぞれセットが違い、感度の良し悪しもあるため、組み合わせが非常に多い)。
生のブロッコリーなんかは結構苦いですが、それより苦みの強い紅茶やコーヒーは飲めるのにブロッコリーはダメというのも、苦味の種類と受容器の感度が違うからなんですね。
対して甘味や塩味の受容器の数は1つか2つで、しかも人間は生まれつき甘味を好むようにできているので、甘い物が嫌いな人はほとんどいないそうです。
一応甘すぎが嫌いな人もいるんですが、苦味のようにほとんど分からないくらいまで薄めないと無理、という人は本当に少ないと。
で、例えばアスパルテームならば、それ自体の甘味・風味が好きで、かつアスパルテームが発現させる苦味受容器の反応が鈍い・気にならないという条件が揃わないと、おいしいと思ってもらえないと。
なので、砂糖入り・人工甘味料入りソフトドリンクをそれぞれ3種類用意して、どこかのスーパーで試飲してもらったら前者はだいたい1個の商品に票が集中したけど、後者は日によって票が分かれまくったせいでどれが人気か判断がつかない、といったことが起こる可能性もあるということですね。
人工甘味料が多いドリンクは、本当にひと握りの人にしか好かれないのかもしれません。
コーラの主流が長らく赤い缶なのは、ちゃんと砂糖が入ってるからかも?
さらに、サッカリンなのかアスパルテームなのかはたまたそれ以外なのか、で甘みの感じ方も違うそうです。
- 砂糖:約4秒で甘みのピークに達し、その後約10秒で消える
- アスパルテーム:約6秒で甘みのピークに達し、その後約14秒で消える
と、砂糖と同じ味ではないのに加えて、この味の長さを気持ち悪いと感じる人もいるそう。
気をつけて取っていればカロリーが低い夢のような成分、というわけではないということですね…。
まとめ
- ナトリウムを減らす方法は3つ
- 代用:ナトリウム以外が多い塩を使おう
- 粒のサイズ:薄くても全体に味が付いている方がおいしい。事前にブライン液などで味をつけておこう
- しょっぱさを連想させる香り:しょっぱいものの香りを活かせれば、数値以上に塩味を感じさせることが可能。肉の種類を変えたり、香りを飛ばさない低温調理などを取り入れたりしてみよう
- 人工甘味料は同時に苦味を感じることが多いため、自分が好きでも他の人は異味を感じているかも…
といった感じでした。
ブライン液に浸けたり、チリパウダーとカレー粉を塗したりして蒸した鳥ムネ肉、豚ロースやヒレはかなりうまいので、ぜひ一度は賞味していただきたいです。
ジャガイモ・サツマイモなんかも茹でる・焼くより断然うまいですからね。
ただ、1つ注意が必要なのが、おいしいと思う香りが人によって違うことです。
なので、国産だったり県産だったり…といろいろな肉を塩で食べ比べてみるのがおすすめです。
調味料やバーベキューソースなんかは多くても30種類くらいの香り成分ですが、うまさを逃さない肉は数十〜数百種類の香り成分があるそうです。
つまり、適当に焼いた安い肉にあれやこれや味を付けるよりも、そこそこのお値段の肉を適切に調理して塩で食べた方が、うまいと思える確率は高いということですね。
そして、ソースなんかは塩分や甘さが強いと他の味をマスクしやすいので、ほどほどに。
青森県の食い物はしょっぱいというのも事実ではあると思いますが、しょっぱさを連想させる食べ物が多いことも事実なので、必ずしも他県より塩分取りすぎが深刻!とは言い切れないのではないかと。
日本の中では短命かもしれませんが、それでも世界的に見れば長寿の部類みたいですからね。
上記のナトリウムカットは「食うな」「運動しろ」「少しは考えろ」と口うるさく言うよりは随分効果があるかと思います。
そして、「カロリーが気になるからと人工甘味料を摂ると苦くておいしくないかも」とか、「脳が狂うかもしれない」ことを頭の片隅に置きつつ食事をしてもらえればよろしいかと。