old reliable tea

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ストレートティーについて考えるブログ

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お店で飲んだあの味!となりやすいのはコーヒーか紅茶か?

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ワインを(たとえ一瞬だったとしても)最もおいしく飲む方法はミキサーで30秒〜60秒攪拌することだ!
という、かなり無茶な話がありました。

 

デカンタージュ、ワインでうがいをする(つまり、空気とよく混ぜる)なんて話がありますが、「空気と混ぜたらおいしくなるなら、ミキサーで思いっきり混ぜたらうまいんじゃ?!」と考えた者(料理は大好きだが、それは研究の対象としての好きなので、10万のワインすら躊躇なくミキサーにかける中年の男)がいました。

 

ワインと空気をいいだけ反応させまくったものを飲むという感じで、実際にやってみたら目隠ししてても分かるくらいに味が濃かったそう。

 

が、残念ながらその攪拌して生まれる強烈な香りは10分程度しか保たないそうで、ミキサーにかけた直後はいいものの、その後はまったく枯れ果てたただの水になってしまったとのこと。(大勢にグラス1杯ずつふるまう場面ならいいかもしれないが、妻と語り合いながらゆっくり飲むには向かない、とのこと)

 

これと似た(?)ような事象として、スタバみたいに豆を店内で挽いているところで飲むコーヒーと同じ味を自宅で再現することはできないそうなんですよ。

 

なぜかと言いますと、コーヒーを挽いた際に出るあのいい香りの寿命は30分、長くて1時間程度だそうで、飲むころにはほぼ消えてしまっているからです。

 

私もあの香りを肉やコンソメに着けることができたらいいな…と思ったことが何度もあります。

 

どうやらその短命な香りがコーヒーの一番いい香りのようで、味覚の研究者のコメントでは「コーヒーショップや喫茶店の香りは老若男女問わず好まれるが、コーヒーという飲み物の好き嫌いがはっきり分かれる理由はここにある」とのこと。

 

なるほど。

 

さらにその性質ゆえ、コーヒー風味のお菓子や飲み物にあの挽きたてのコーヒー豆の香りをつけるのは不可能だそうなんですよ。

 

簡単に言えば、店と同じコーヒーを飲もうと思ったら同じ豆を使うのに加えて、飲んでいる最中に横で誰かに豆を挽き続けてもらって香りを絶やさないようにしなければならないそう。

 

ワインをミキサーで攪拌すると鼻や口の周りに香りが満ち、似たようなことが起こるわけですね。

 

「お店で飲む、あのコーヒーがいいんだ!」という人には残念なお知らせかもしれません…。

 

一方紅茶(一応紅茶がテーマなんで…)は店に充満させるはどの香りはありません。

 

私も今までそれは短所かと思ってなんとか克服できないかと考えていたんですが、逆に考えてみれば「お店や出先で飲んだおいしい紅茶を自宅で再現できる可能性は高い」ということが言えるのではないかと。

 

なぜなら、飲まないと分からない=店には紅茶の香りが充満しているわけはないですからね。

 

店内のバターやケーキの香りも含めて紅茶の味!とも言えるかもしれませんが…。

 

そう考えると、店内に油とか肉の香りがそこまで漂っていない(厨房が遠いとか、明確に区分けされてるとか)のにおいしい料理が食べられるレストランの味は、頑張れば自宅でも近い物が作れるかもしれません。

 

逆に、目の前で焼いてくれる、作ってくれる、ドリップしてくれるお店の味を自宅で真似しても、同じ味には感じられない…とも言えそうですね。

 

液体は味を感じにくい

ここで、液体において香りがどのくらい重要かをお話ししておきますと、液体は固体の約10倍香りや味を感じにくいそうです。

 

口の中には短時間しかおらず、咀嚼による香りの循環(喉の奥から鼻に香りが上がってくる)も起こりにくいため、飲んだ実感が湧かないと。

 

かなり大雑把に言うと500mlのオレンジジュースを口の中に留めたりよく味わったりせずぐびぐび飲むだけだと、50g分のオレンジを食べた程度しか満足感がないということですね。

 

大きさにもよりますが50gというとオレンジ1/4個くらいですか?

 

となると、いつもオレンジ1個食べて満足している人がオレンジジュースで代用しようと思ったら、単純計算で2000mlくらいは飲まないといけないかも…。

 

ジュースだけで満足しようと思ったら、かなりのカロリーになりそうです。

 

というわけで、冷ますために紅茶やコーヒーをかき混ぜすぎたり、冷やした2つのグラスを行き来させたりするのはおいしさを損わないという点ではやめた方がよさそうですね。

 

テクニックとして上記の方法を「こうすると香りがよく立つ」と書かれている本もありますが、液体から味が抜けてしまう可能性が多分にあると(数分で枯れはててしまうかも)。

 

まあ、コーヒーならば香りが強いのでマシかもしれませんが紅茶はだめでしょうね。

 

ということでまとめると、「グラスを傾けて鼻に近づけたら香りがする」等は普通ですが、「近づかなくとも注いだ直後から香りがする」とか「お湯を入れたらもういい香りが!」みたいなのは、その飛んだ香りが顔の周りにある内しかおいしさが維持できず、しかもそれは数分であるかもという感じ。

 

ブイヨンは香りが飛んでもそれ以上に多くの香りが濃縮されるからOKだそうなんですが、紅茶は酸化するのみなので、少ない香りを逃さない方向にした方が良いかと。

 

つまり、飲むまで香りが分からない・しないくらいがちょうどよいため、「紅茶のオススメの作り方は水出し(コーヒーは人による?)」ということになるかと思います。

 

試してみたい方は、茶葉にもよりますが軟水と硬水を同じ条件で水出しにしてみるとよく分かるかと。

 

 

 

軟水の方は何だか香りが抜けたような微妙な味になりまして、おいしく飲めるのは最初の1杯の1〜2口目くらいでしょうか。

 

最初の1杯の1〜2口目ですよ?

 

ちょくちょくマルコポーロやいい紅茶を紹介している人なんかでも「水出しにするのもアリ」と書いていますが、水道水でやると失望する可能性の方が高いので硬水を混ぜて使うことをオススメします。

 

まあ、お店では運ばれてきた・出された段階で芳しい方が印象はよいと思いますが…。

 

せっかく水出し茶にたどり着いた人が「その手があったか」と意気込んでやってみたはいいものの、水道水を使ってしまったばっかりに「紅茶はやっぱりどうやってもおいしくないな」みたいになってしまうのはもったいないですからねぇ。

 

逆に素材の味を大切にする日本人にこそ、水出しのような紅茶をオススメしたいですね。

 

というのも、もともと紅茶はヨーロッパやインド、アメリカなどの煮炊きした・しっかり加熱した物に適した味覚をもつ人々に好まれてきました。

 

1858年の欧米との貿易記録によると当時の最高級だった抹茶は(生っぽいため)嫌われ、最下級の番茶が人気だったそうであります。

 

なんですが、けっこう前から日本は食の欧米化とか言われているので決して紅茶が合わない味覚か?と言われればそんなことはないと思うんですよ。

 

烏龍茶とかも結構飲まれてますし、ハンバーガーとか唐揚げも食べられてますしね。

 

むしろ、上記のヨーロッパやアメリカの人々は砂糖を入れて飲むのが普通だったそうなので、紅茶が好きというよりは砂糖をたくさん摂るのに最適なのが紅茶という感じでもあったそう。

 

なので、確かに紅茶の歴史は海外の方が長いが、素材を味わう(つまりストレートティーを飲む)という点では日本人にも紅茶を十分味わえる可能性はあるんじゃないでしょうか。

 

抹茶や玉露も砂糖やミルクは入れないですし。

 

まあ、「味覚は小さい頃から何を食べてきたか?」「妊娠中に母親が何を食べていたか?」がかなり影響するらしいので、小さい頃から和食よりかはパンとか焼いた肉をよく食べていた人は、紅茶を好きになれる可能性があるかもしれません。

 

食べ合わせとしてよくマッチしますので。

 

ということでした。

 

ぜひお試しあれ。

 

 

 

さて、これまた余談ですが、エビアンのサイトによると「紅茶に最適なのは硬水」とありました(米の炊き方について調べていたらエビアンのサイトにたどり着くとは、これはいかに)。

 

緑茶はうまみの抽出される軟水、中国茶や紅茶は硬水とのこと…。

 

この「香り」が何を指しているかにもよりますが、やはり紅茶は硬水でいれていただくとよろしいみたいですね。

 

ちなみに炒飯やピラフ、パエリアに使うようなふっくらとしていない米にしたい場合は硬水で炊くとよいそうですよ。