old reliable tea

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ストレートティーについて考えるブログ

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続・水出し紅茶で食中毒になる可能性はどこまであるのか?

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第1回についてはこちらからどうぞ。

 

tanabu.hatenablog.com

 

 

普通の部屋と同じ温度で放置したら、どれだけ菌は増えるのか?

最近は紅茶のストックを消費するためにあまり新しいものは購入していないので、本や実験を読みあさっています。

 

すると、水出しで作る冷茶の保存性を検証した研究を見つけました。

 

実験は抹茶入り玄米茶やティーバッグの紅茶、麦茶などを集めてそれぞれ水出しと熱湯で抽出し、それを20℃と35℃で保存して菌がどのくらい増えるのか?を調べてくれています。

 

条件としては

 

  • 水出しは冷蔵庫で滅菌水1リットルに12時間ティーバッグ(商品によって5gもしくは10g)を入れてから取り出したものを保存
  • 熱湯は沸騰直後の滅菌水1リットルに5分間ティーバッグを入れたものを室温まで冷却後、冷蔵庫で12時間保存
  • その後、それぞれの茶100mlずつを滅菌フラスコに入れ、20℃と35℃で3時間、6時間、12時間、24時間ごとに菌を測定

 

といった具合。

 

要は、比較的涼しい日と暑い日の室温に放置したら茶の菌はどうなるの?といった感じですかね。

 

また、冷蔵庫で作った場合の菌の増殖も書かれております。

 

今まで、水出しでも3〜5時間程度おけば70℃3分と同じくらいのカテキンが出るらしいから心配ないのでは?と書いてきましたが、具体的に調べられたものはそんなにありませんでしたので、これはありがたいですね。

 

最後はどうしても「私や友人もこれまで水出し紅茶で腹を壊したことはない!」みたいな経験則になってしまいますからねぇ。

 

冷蔵庫に入れて作り、6時間以内に飲めば問題はナシ

結果どうだったかと言いますと

 

  • 熱湯で作った茶は3時間〜24時間の間、菌の増殖はなし
  • 水出し茶は20℃、35℃両者で時間の増加と共に菌の増殖が見られた
  • いくつかの商品(緑茶、花びらやフルーツの入っているもの)は、もともと菌が付着していた

 

とのこと。

 

これを見るとやっぱり水出し紅茶は菌が増える!危険!!といわれるかもしれませんが、

 

  • 冷蔵庫に入れた状態では菌は増えていない(付着していなければ0のまま)
  • 20℃、12時間を超えたあたりから元の倍程度まで増える(20℃6時間ならば冷蔵庫に入れた状態とほぼ変わらず)
  • 35℃だと12時間目から腐敗が始まる(ものもある)

 

といった感じだそう。

 

つまり、(常温で水出し茶を作るのはおいしくないのでそもそも論外として)冷蔵庫で作った水出し茶も

 

  • 万全を期すなら6時間以内で、遅くとも12時間以内(これを超えると菌の増加が加速する)で飲み切った方がよい

 

という感じでしょうか。

 

当然これは20℃で放置した場合なので、35℃(実験上は6時間置いてもさほど菌は増えていない茶が多いですが)ならば更に早くに飲みきってもらえれば特に問題はない、といえそうです。

 

また、あくまで今回は12時間冷蔵庫で抽出したものなので、私が推奨している36時間や48時間で置いた茶がどんな動向を見せるかはわかりません。

 

置けば味は濃くなるので殺菌成分はより働いてくれそうな気はしますが、何とも…。

 

ちなみに「熱風を吹きかけて作る紅茶」「高温で焙煎する麦茶」はいいそうですが、緑茶には菌が多い可能性があるそう。

 

研究者によると

 

一般に麦茶は原料麦を焙煎機に入れ200℃を超える高温で処理するため、その工程で原料に付着していた菌が死滅したと考えられた。また原料料が緑茶のものは烏龍茶に比較すると多くの菌が検出された。沢村らは荒茶(仕上げ加工される前の茶)、烏龍茶、紅茶の一般生菌数を測定し、荒茶から多くの菌を検出したことを報告し、その理由として蒸熱工程を含む緑茶特有の工程が起因していると推測している。

また今回試験に用いたフレーバーティー(その他)のほとんどが多くの微生物で汚染されていることが分かった。これらの茶種には花びらやフルーツなど茶葉以外のものが含まれており、それら由来の菌に汚染されたと考えられた。以上より、原材料である茶葉の微生物汚染は製茶方法と関連し、多くの茶葉には細菌やカビが存在していることがわかった。 このため、調製する茶浸出液には茶葉等由来の細菌やカビが混入する可能性があり、茶浸出液を不適切に保存することによって菌が増殖し、衛生上好ましくない状態になると考えられた。

 

紅茶については上記には書かれていませんが、紅茶協会の本によりますと「区分けの前、一番最後の工程として100℃の熱風を吹きかけ、水分が3〜4%になるまで乾燥させる」とあるので、工場自体が汚染されていて…というわけではなさそう。

 

また

 

保存温度が5°Cの場合すべての水出し紅茶中で菌は増殖しなかった。しかし保存温度が35°Cの場合、無添加の水出し紅茶で著しい菌数の増加がみられ、さらにショ糖添加の水出し紅茶では無添加を上回った。しかしレモン果汁液を添加すると菌の増殖は抑制されて、0.25ml添加でほとんど増殖が認められなくなった。

 

とのことで、液が酸性だからオレンジジュースやスポーツドリンクでは菌は増えにくい、というのと同じみたいですね。

 

まあ、菌や微生物が付いているとはいえ「増殖していなくても飲んだら危険なので、そもそも水出し茶にしてはいけない!」とは書かれておらず、あくまで保存はしっかりせよという話なので、とりあえず「水出し紅茶自体はさほど心配不要」といったところでしょうか。

 

独りよがりの空論でないことが分かってよかったです。

 

おいしい水出し紅茶は「少なくともポットの80%の分量」で「48〜72時間」置こう!

以前は飲みにくくなることも考慮して「とりあえず24時間で」と紹介していたんですが、それはどうやらやり方が悪かっただけのようです。

 

どういうことかと言いますと、1リットルのポットに500mlとか600ml作ると香りがイマイチ薄い割に渋い紅茶ができることを最近発見しましてその作り方だと何十時間置いても香りが弱いままなんですよ。

 

で、私はそれを「茶が濃すぎるから甘みや香りが分かりにくいのかも…」と思っていたんですが、どうも違うようでして、紅茶によって茶葉がほとんど上に浮いたり下に沈んだり様々ですが、ポットいっぱいに茶を作った方が明らかにおいしいことが多いんですよ。

 

最初に買ったときは1リットルポットでたくさん作るので、うまいかどうかが分かって問題ないんですが、2回目、3回目に少量作ると「こんな味だったっけ…?」となることが何度かありまして、今思えば、たしかにポットの半分くらいしか作ってなかったかもなぁと…。

 

つまり、水出し紅茶を作るならば、少なくともポットの80%くらいの分量は作った方が味がよくなるっぽい、ということですね。

 

やはり渋みのせいで味を感じにくくなっているんでしょうか…?

 

と、原因がハッキリしないのが非常にモヤモヤいたしますが、その具体的な作り方を申しますと

 

  • ほしい茶の量と同じだけのポットを用意する
  • 水の割合はいつも通りのエビアン:軟水か水道水=1:1
  • 茶葉の量は600mlのポットならば大さじスプーンすりきり3杯半〜4杯
  • 抽出時間は48〜72時間(フレーバー系は48時間、ノンフレーバードは60時間くらいがおすすめ。60時間も72時間もさほど味に差はない気もする)

 

です。

 

こうすると茶葉のほとんどが浮いたり沈んだして均等に分布しないせいか、若干抽出に時間がかかりますが、出来上がった紅茶の味はスバラシイものがあります。

 

この茶葉の分布や動向に関しては特にノータッチで、茶葉の行きたい方向に行かせるのがよいかと思います(茶葉を入れて水を注いだら、浮いても沈んでも放置。混ぜたりもしない)。

 

これで香りも甘みも濃厚な紅茶が作れます。

 

ちなみに、以前パラダイスやエディアールのレッドフルーツの茶葉を混ぜたところ、明らかに色が濃くて香りがよく分からない、控えめに言ってもかなり酷い茶になりました。

 

ご注意ください…。

 

また、上記の研究においても水出し紅茶は

 

水出し茶は、お湯出しのようにお湯を沸騰させる手間がいらず、水にティーバッグを入れるだけでお茶を作ることができるので、忙しい人にとってはとても都合が良い。また、水出し茶は、渋み成分であるタンニンの抽出が少なく、旨み成分であるアミノ酸が抽出されるため味がよく、色も綺麗という特徴もある。坂本らは温度を変えて成分の溶出特性を検討した結果、5℃で 10分間浸出の煎液にはアミノ酸類(アスパラギン酸グルタミン酸、テアニンなど)やペクチンがよく溶出し、 茶の濃厚な甘味と旨味に寄与していると推察している。 このように冷水による抽出(水出し)は茶の美味しい入れ方の一つと言えるが、一方、茶浸出液の衛生面を考えた場合、水出しはお湯出しのような加熱操作を伴わないため、水や茶葉の殺菌ができず安全性に不安が持たれる。

そこで、冷蔵庫等で冷やしてから飲む冷茶の衛生について調査を行った。

 

と、よい抽出方法だ、と記されています。

 

おいしいですもんね。

 

そして、1リットル用ポットだと非常に場所を取る上に一度にたくさん作らなければならない(おそらく1リットル用でもいっぱい作れば同じ味にはなるはず)ですが、小さいポットだとそれらのいろいろな問題が解決できるかと思います。

 

 

 

 

 

 500ml用とありますが、満タンまで入れると600ml程度になります。

 

私もいろいろな紅茶を買ったときはちょっとずつ味見をしたい派(毎回1リットルはちょっともったいないような気もしている)なので、非常に便利であります。

 

紅茶に興味をもって新たにポットを買おうかと思っている方は、1リットル用よりも600mlあたりがおすすめです。

 

まとめ

 

  • 中には僅かに菌が付着している茶もあるようだが、冷蔵庫で作る分には問題ない
  • いずれにせよ、水出し茶は6〜12時間以内で飲み切るのがよさそう

 

冷蔵庫から出したてでもしっかり味のする濃厚な紅茶は

 

  • いつも飲む茶の量と同じ量のポットを用意する
  • 水の割合はエビアン:軟水か水道水=1:1
  • 茶葉の量は、例えば600mlのポットならば大さじスプーンすりきり3杯半〜4杯(茶葉の大きさ等によって挙動が変わるが気にしない)
  • 抽出時間は48〜72(48時間の時点で一度味見をするのがおすすめ)時間

 

という感じです。

 

最近はある種の実験味が強くなってきたためか1リットル用ポットに半分くらい作って評価を下すことが多かったんですが(最初おいしいと思ったけど気のせいか?みたいな)、小さめのポットで作るようにしてから「紅茶ってやっぱりおいしいんだなー」という初心を思い出しました。

 

それが原点でしたからね。

 

ちなみに今回のように小さいポットで作った方がおいしい紅茶を挙げると

 

 

であります。

 

また、フレーバー系は48時間(72時間だとやや渋くなる)、ノンフレーバードは48時間で様子を見つつ72時間(60時間くらいでも十分かも)とどちらがよいか調整、と覚えておいていただければ。

 

暑い季節に水出し紅茶を作る際は、ぜひ参考にしてくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレーバー麦茶は果たして紅茶と同じいれ方でおいしくできるのか? 「ルピシア パイナップル麦茶」

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今回登場するお茶
・パイナップル麦茶

今回紹介するいれ方
エビアンと軟水を使った水出し

  

 

フレーバー麦茶は麦茶か?フレーバーティーか?

たびたび利用しているルピシアですが、その中でパイナップル麦茶なるものを発見しました。

 

パイナップル自体は甘く酸っぱいですが、それに麦茶とは…?

 

麦茶は味の構成からすると薄めたコーヒーとかなり近いらしいんですが、果たしてパイナップルを加えるとどうなるものか?と思い買ってみました。

 

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www.lupicia.com

 

 

目的はズバリ、

 

  • 使う水によってフレーバー麦茶の味は変わるものなのか?(そして、そもそもおいしいのか)

 

の一点であります。

 

フツーの麦茶が飲みたいだけならただの麦茶を水に突っ込んでおけばいいわけですし、そもそもこれを買う必要はないので、やはりポイントは「パイナップル」。

 

10包390円とお安く、かつパイナップルの香りが着いた飲み物自体がそう多くはないので、もしこれでおいしく作れるならばとても素晴らしい商品であります。

 

想像するのが難しいですが、パイナップルと麦茶の組み合わせが意外とイケるかもしれません。

 

いやいや、そもそもパイナップルと麦茶のコンビはおいしくない可能性もありますね。

 

さて、どう出るかな?

 

結論:やはりエビアンと軟水のミックスは素晴らしい

まず、実験をする際の条件としては

 

  • 軟水(水道水)100%、硬水(エビアン)100%、硬水(エビアン):軟水=1:1をそれぞれ500ml用意
  • それぞれにティーバッグ1包を入れ、冷蔵庫で2時間抽出

 

です。

 

麦茶製品自体を初めて買うので、まずは袋の通りに。

 

結果どうだったかといいますと

 

  • 軟水:直球で麦茶!の後にわずかに甘い感じ。麦茶以外の味はとても薄い。

 

  • 硬水:軟水ほど麦茶の香りはしないが、パイナップルっぽさが何となく分かる。軟水よりも若干甘いが、今回作った中では最も味が薄くなった。

 

  • 硬水(エビアン)と軟水:飲んだ後、喋ったり息を吐いたりするとかなり甘い香りが上がってくる。パイナップルの甘さと香りが思ったより強いせいで、麦茶の後味が気になるほど。

 

といった感じで、やっぱりエビアンと軟水のミックスが優勝

 

このやり方はフレーバー麦茶にもどうやら通用するようですね。

 

特に香りの残り方が段違いでありまして、飲んだ後に息を吐くとその差は歴然であります。

 

スッキリしていて飲みやすい等と書かれていますが、エビアンと軟水を混ぜたものは正直な話「甘ったるいくらい」です。

 

麦茶の香ばしさ以外(香ばしさはあまり噛み合っていない気がする)の味、例えばミネラルによる甘さなんかがパイナップルの香りと合っているのか、値段不相応によい香料を使っているのかは不明ですが、フレーバー系の中ではかなりおいしいかと。

 

なんで、適当に水道水で入れたり常温で放置したりしておくのは非常にもったいない麦茶であります。

 

また、いろいろやってみたところ、袋に書いてある分量よりやや少なめの400mlで作るとかなりイイ感じで、パイナップルの香りが強力になります。

 

というか、普通に推奨されている水道水でいれると全然おいしくないので注意。

 

普通の麦茶だと思ったけど、何これ?みたいな…。

 

「普通の麦茶でよかったな、パイナップル邪魔だな」と言われかねない薄さでありますので、「買ったはいいけど…」という人も意外と多いのかもしれません。

 

そんな方はぜひエビアンをお使いください。

 

また、2時間冷蔵庫に置いただけでも結構パイナップル感が出ていたので、水出しであるにも関わらず即座に作れるのは魅力的ですね。

 

おかげで実験も捗りました。

 

まとめ

 

  • ルピシア パイナップル麦茶はエビアン:軟水か水道水=1:1で作るとめっちゃ甘くなる
  • エビアン:軟水か水道水=1:1の水出しで、水500ml(オススメは400ml)につきティーバッグ1包、抽出時間は冷蔵庫で2時間程度
  • 軟水や常温、熱湯で作るのはかなり非推奨(麦茶すぎるため)

 

という感じでしょうか。

 

普通に作るか、エビアンと軟水を混ぜて作るかで大きく評価が変わる商品だと思いますので、ぜひエビアンをお使いくださいませ。

 

しかし、エビアンには香りを固定する能力か何かがあるんでしょうか?(笑)

 

一応茶が香りをよく吸うのはカテキンによる作用だそうなんですが、何らかの形で香りをうまく使えるカテキンが生成されている…とかなんでしょうかね?

 

本当にエビアンには驚かされるばかりで、毎回同じような味になるので再現性もバッチリであります。

 

そして、今回実験して分かったのは、「緑茶」、「コーヒー」をはじめ「麦茶」も、広く浸透しているいれ方はおいしいいれ方としてさほど間違っていなさそう、ということです。

 

なぜなら、水道水を入れて放っておいたら麦茶の香ばしい味は結構出てましたから。

 

水出し茶も同様に、適当に作ってもそんなに悪くはなりませんでした。

 

今回のパイナップル麦茶も「2時間でOK」と袋に書いていた通りにやっておいしくなりましたが、紅茶の水出しは一般的に調べて出てくる4時間とか8時間ではかなり味は薄くなります。

 

まあ、サイトやメーカーによって時間は違いますが、大体短くて4時間、長くても8時間くらいですか。

 

この作り方でおいしい!と感じる人がどのくらいいるのか、かなり気になるところですね。

 

つまり、何が言いたいかといいますと、「紅茶だけは」おいしいいれ方と普及しているいれ方に結構なギャップがあるので、作る際はご注意くださいませ、ということでした。

 

本当に…。

 

 

 

 

8/15 追記

 

フレーバー麦茶があまりにも早く味がお出になられるので、長時間置いたものはどうなるのか?と思い、よい香りであったエビアンと軟水のミックスを12時間置いて検証してみました。

 

2時間でも十分に出たため、さらに香りが濃くなってうまくなるのか?(1回目の抽出が終わった後もまだよい香りが残っているため)

 

はたまた、香りは早々に出てしまい、後は麦茶の味が濃くなるのみなのか?

 

どうなるものかと。

 

で、結果どうだったかといいますと

 

  • 麦茶味がとても濃くなり、パイナップルの香りは最後に何となく分かる程度まで弱体化

 

と、なってしまいました。

 

正直、あまりおいしくはなかった軟水の水出し麦茶に近いような味に。

 

何というか、長時間抽出した麦茶って案外苦いというか渋みがあるな?という感じだったので、それが悪さをしてパイナップルの香りを邪魔しているのかもしれません。

 

やはり袋の通り2時間で作るのがよろしいようですな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスカットティーは200円あれば十分においしい物が買えるみたい 「ジュピター 水出し紅茶 西洋葡萄」

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今回登場するお茶
・ジュピター 水出し紅茶 西洋葡萄(メイン)
・ジュピター 水出し紅茶 山葡萄

今回紹介するいれ方
エビアンと軟水を使った水出し

 

 

フレーバーティーの香りと苦みは「廃ホテルに置かれた日本人形」と同じくらい不適切な配置である

紅茶の世界において、マスカテルフレーバーという非常に抽象的な味の表現があります。

 

「マスカテルワインのような複雑な香り」とか「マスカットのような味わい」という話があるわけですが、「では、マスカットの香りがついた紅茶というのはないのか」と思ったことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

これだけ「紅茶は苦いものだ」と言われつつも「いい紅茶=マスカット味がする」という認識が広く受け入れられているわけですよね。

 

特にそれに反論している人やサイトは見当たりません。

 

マスカットは苦みとは対極にあると言っていい味であるにも関わらずこのような現実である…ということは、「いつかそんな紅茶に出会いたい!という期待」が多くの人にあるのかもしれません。

 

もしくは「おいしい紅茶はあんな番茶みたいな味ではなく、もっと華やかな味や香りがしていてほしい…」という願いかもしれません。

 

いずれにせよ、おいしい紅茶が飲みたいということですよね。

 

ということで、今回はジュピターの「水出し紅茶 西洋葡萄」を紹介します。

 

新横浜プリンスぺぺにも入っているお店「ジュピター」の紅茶ですな。

 

安価なフレーバーティーではありますが、葡萄の香りがしっかりついた紅茶であります。

 

出来上がりはやや薄めにはなりますが、このくらいの味の紅茶を買おうと思うと数倍は金がかかるので、かなり優秀な商品だと思われます。

 

ちなみに、フレーバーティーというとたまに「匂いがキツいから苦手…」という人がいますが、あれは実は間違いである可能性が高いです。

 

どういうことかといいますと、実は食べ物や飲み物が好まれない理由のひとつに「配置が不適切だから」というものがあります。

 

配置が不適切というのは、例えば、遊園地やテーマパークなんかにはウサギやタヌキの着ぐるみがいるじゃないですか。

 

もしあれが廃墟とか何年も使われていない倉庫に意味ありげに置かれていたら、超怖くないですか?

 

魂が抜けたような姿勢でイスに座らされていたり、頭だけ入り口を向いていたり…。

 

よく夏の恐怖特集なんかでもやってましたが、撮影に入った廃ホテルになぜか頭だけの日本人形が置いてあるとか。

 

アレは本来美しいはずの日本人形が置いてある場所が不適切であるために起きたことなんだ、と(日本人形は普通に飾ってても怖いですけど…)。

 

「酢豚にパイナップル」なんかもそうかもしれません。

 

酢豚もパイナップルも好きだけど、「誰が混ぜろと言ったんだ!」という人は結構いるんじゃないでしょうか。

 

私もニンジンは生で食べられるくらい好きですが、ハンバーグやステーキの付け合わせに付いてるグラッセは大嫌いです。

 

つまり、同じ物・味・色でも適切な場所に収まっているから好き・おいしい・美しいのである、と。

 

まさに酢豚にパイナップルですよね。

 

そして、これを紅茶に置き換えて考えてみれば、フレーバーティーアールグレイ適切な配置であれば、もっというと、本当にフルーツの味や香りがキツいと感じるくらいであれば大喜びされるはずです。

 

なぜなら、フルーツが好きでなければアールグレイフルーツティー等は買わないでしょうから。

 

問題は渋みの中にフルーツの味があることですよね。

 

つまり、フレーバーティーが好まれない理由の「匂いがキツい」というのは間違いで、「味があるべき場所に配置されていない」が正しい、ということですね。

 

まあ「マスカットやイチゴの香りがするのに苦い」などというミスマッチは紅茶くらいでしょうね…。

 

が、それで終わってしまうのもなんだか寂しい話なので、おいしい紅茶のお話をしましょう。

 

マスカテルフレーバーではなく、マスカットの香りがする紅茶を

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マスカテルフレーバーの正体は未だはっきりしてはいませんが、この紅茶は非常に分かりやすくマスカットの香りがついております。

 

香り自体はウェルチのマスカット・ブレンドに似たような感じでありまして、当然砂糖は入っていないですし安い紅茶でありますので薄めではありますが、香りは素晴らしいのであります。

 

 

 

私も「これがマスカテルフレーバーなのか…?」と思えるダージリンをいくつか飲んだことがありますが、確かにそれらもおいしいと思うんですよ。

 

思うんですけど、そのおいしいというのはある程度紅茶を飲み、「この味がする紅茶は貴重だ」と知っていてその価値をより身近に感じられるからだ、とも思っています。

 

何というか、仮に自分がお店をやっていたとしたら「とりあえずのオススメとしては出しにくい」というか、「味わい深いが、これは値段分の味がするかと言われれば疑問」というか。

 

100g3200円、2800円とかだと特に。

 

が、今回のマスカットティーはそんな心配もなく、ガンガンお出しできる紅茶です。

 

なぜなら、ここまでまんまマスカットの香りがする紅茶(そもそもマスカットの紅茶自体があまりないんですが)に、私はかつて出会ったことがないからであります。

 

多くの人が抱くマスカテルのイメージはこちらのほうなんじゃないかと。

 

その上破格なのがお値段。

 

なんと、12gのティーバックが3つ・計36gで1袋198円なのであります。

(8/28追記:実は売り切りセール中だったようで、定価は298円だった模様です。失礼しました。)

 

たいへん素晴らしい。

 

正直なところ、3000円とか4000円するオータムナルや○○農園のダージリンよりもこちらのほうが「芳醇・香り高いとされている紅茶のイメージ」にしっくりくるのではないでしょうか。

 

ジャンナッツにもマスカットはありますが、ジュピターの西洋葡萄のほうが薄めたブドウジュースのような、違和感のない味わいだと私は思います。

 

ティーバッグから茶葉を取り出して作ってみるのもおいしい

で、このマスカットティーをどう作るかといいますと、袋に「水出し紅茶」と書いてある通りなんですが、毎度ながらエビアンを使っていただくのがおすすめです。

 

茶葉の味が決しておいしいわけではない気もしますが、やはりエビアンが入らないと甘みは感じられないですねー。

 

本当にエビアンを入れると紅茶が甘くなるのは謎であります。

 

それはいいとして、具体的ないれ方は

 

  • エビアン:軟水か水道水=1:1の水出しで、ティーバッグ1包につき600〜800ml
  • 抽出時間は12時間〜24時間

 

という感じですかね。

 

袋によると

 

冷水ポットに本品1包と水(1Lが目安)を入れて約3〜4時間。

※出来上がりの目安は5〜7人分です

お好みの濃さに調整してお愉しみ下さい

 

とのことですが、1リットルは多いでしょうね。

 

ちなみに、過去にポットの形や量の話をしましたが、いろいろ実験してみたところあれはリーフにおいて効果が高いようなので、このマスカットティーはどんなポットでもOKです(縦に長い麦茶ポット等はさすがにNG)。

 

抵抗がなければ大きな鍋ごと冷蔵庫に入れておいてもいいかもしれませんね。

 

また、ティーバッグから茶葉を出して水出し紅茶を作ると味が若干変わります。

 

どう味が違うかといいますと、ティーバッグから出さないものは「若干の茶の味+マスカットの香り」となります。

 

スリランカや紅茶感のある方が好きな人にはいいかもしれません。

 

ティーバッグから出したものは下だけが濃く上下が混ざっても色は薄いままですが、茶の味が薄いぶん、マスカットの味に集中できる感じでしょうか。

 

薄いながらも甘く飲みやすいため私はこちらの方が好きですかね。

 

また、参考までに、ティーバッグから出した茶葉を1リットル用ポットにあけ、エビアンと軟水を計700ml程度注いだものですと、12時間で十分おいしく飲めるようになりました。

 

いつもの水出し紅茶は24〜48時間のあいだで濃さが変わるぞ、という話をしていますが、このマスカットティーは12時間あればおいしくできるということですね。

 

むしろ、香りさえ移れば十分なので、普通の紅茶と違って長時間置いてもあまり味が変わらないと思います。

 

どちらも試したいただいて好きな方を採用していただければよいかと。

 

ということでした。

 

しかし、たまたま見かけて手に取った紅茶でしたが、変に深い読みをせずに買ってよかったです。

 

こういう値段不相応においしい紅茶があるからいざ買うときに迷ってしまうのかもしれませんね…。

 

198円でこんな紅茶はかなりのレアケースではありますが。

 

ただ、私がパッと見て「この値段ならそこまででもないんだろうな」と思ったように、多くの人も同じように思ってしまうかもしれません。

 

さらに、もし買ってもらえたとしてもそのまま水道水で入れてしまったら悲しいことになってしまうので、どうしても評価されにくい紅茶かもしれません。

 

ぜひエビアンをお使いくださいませ。

 

ちなみに、一緒に山葡萄も買ったんですが、それらは香りが薄く、また飲んでいて何の香りなのかはっきり分からないくらいだったため、まずはマスカットティーをおすすめします。

 

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香りでパッと分かるのがマスカットだけというか、いれる前の香りが「これは何だろう?あっ、山葡萄って書いてある」みたいな感じです。

 

マスカットがとてもおいしく、他は値段相応といった感じでしょうか。

 

が、全種類を飲んだわけではないので、またおいしいのがあったら報告します。

 

まとめ

 

  • マスカットだとはっきり分かる香りがする(再現度が高いとも)上に198円と安く、かつティーバッグであるため計量が不要で便利である

 

西洋葡萄 マスカットティーのいれ方は

 

  • エビアン:軟水か水道水=1:1の水出しでティーバッグ1包につき水600〜800ml、冷蔵庫で12〜24時間

 

  • ティーバッグから茶葉を出して抽出すると甘く渋みのない、薄めたブドウジュースのようになる(結構薄め。ただ、香りだけで甘く感じられる)

 

  • ティーバッグのまま抽出すると適度な茶の味とマスカットの香りで、よい紅茶といった感じになる(初めて作る、誰かに飲ませる際にはこっちの方がいいかも)

 

という感じでした。

 

198円なので出来上がりは若干薄めになりますが、これだけの味を楽しめるマスカットティーは買いじゃないでしょうか。

 

濃くても香りが悪ければおいしいとは言えないですからね。

 

他の紅茶だとそこそこ値段が張ることも相まって「もしおいしいと感じるのが自分だけだったらどうしよう…?」と思うこともありますが、これは何の躊躇いもなくおすすめできますね。

 

天然のマスカテルフレーバーでこれよりもマスカット味がするものを探すのは時間もお金も労力もかかると思うので、とりあえずこれをお試しいただくのがよろしいかと思います。

 

いろいろ試して、リラックスできる至福の1杯を見つけてくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水出し紅茶の味が同じにならない!問題について何か解決策はあるのか?

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今回登場するお茶
・セレクティー ケニア
トワイニング レディグレイ
ルピシア パラダイス

今回紹介するいれ方
エビアンと軟水を使った水出し

 

 

同じ条件、同じ温度、同じ茶葉の量でやっているにも関わらず、水出し紅茶の味が同じにならないのはなぜ?

実は結構前から感じていることではあるんですが、同じ条件、同じ温度、同じ茶葉の量でやっているにも関わらず、水出し紅茶の味が同じにならないことがあります。

 

エビアンと軟水を混ぜたもの、どちらか単一のもの(はあんまりおいしくないですが)の両方とも起こることでして。

 

理由はさまざまあるかと思いますが、まあ、農産物ではありますし、茶はブレンドされているものがほとんどなので、同じ商品でも上と下では茶葉の分布が違うことも考えられます。

 

アッサム、セイロン、ダージリンブレンドならば上にセイロンの茶葉が多いこともあるかもしれませんし、とある紅茶がおいしい!というのは実は特定の茶葉が上に偏っていたから…なんてこともあるかもしれません。

 

ということで.とりあえず原因と思えそうなものを羅列して実験してみました。

 

その日の水の微妙な差とか、空気や温度、お茶の機嫌などコントロールできない要素は仕方ないとして、意外なところに落とし穴がある可能性もありますからね。

 

思いつくものとしては

 

  • エビアンと軟水が実は混ざっていない(どちらを先に注ぐかで抽出度合が変わっている?)

 

  • 茶葉の大きさや太さによって動きが変わる(ポットの形によって動きが変わる?)

 

  • 細かい葉が下に、ドライフルーツやオーナメントは上に残りやすいため後半は味が薄くなる

 

とかですかね。

 

さて、紅茶というのは全くコントロールの利かない領域なのでしょうか。

 

1.エビアンと軟水が実は混ざっていない

世にはセパレートティーなるものが存在します。

 

砂糖や塩を溶かした水もしくはジュースと紅茶では重さが違うため、重たい液→軽い液と注ぐと層ができるというアレですね。

 

で、エビアンにもミネラルが溶けているため、もしかするとセパレートティーのようなことが起きているのでは…?と思い同じ量を測ってみたところ、

 

 

でした。

 

確かに水道水とエビアンでは重さが違うようで、その差は2%くらいある模様。

 

次に適当な絵の具を用意し、エビアンと軟水にそれぞれ溶かしてから出来るだけ静かに注ぎ、セパレートティーのように層ができるものかどうかを確認しました。

 

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エビアンはカーマイン、軟水はセルリアンブルー。

 

それを混ぜてみたところ…

 

 

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無情なり。

 

ということで、2%くらいの重さの違いでは層にはならないようですね。

 

ちなみにこれは水出し紅茶の条件と同じく48時間置いた後の姿であります。

 

つまり、

 

  • エビアンを先に注ごうが軟水を先に注ごうが混ざってしまうので、そんなに変わりはない
  • 少なくともポットの上と下で水の分布が違う(エビアンが下に溜まるとか)わけではない

 

ということがいえましょう。

 

2.茶葉の大きさや太さによって動きが変わる

これはパラダイス、ケニアレディグレイといろいろ試していたときに気付いたんですが、それぞれの茶葉によってほとんど沈んだままだったり上と下に分かれたりと、挙動に結構差があったりします。

 

例えばですが、パラダイスとケニアは下に沈んでいる茶葉がほとんどで、レディグレイは上に8割くらいの茶葉が停滞していました。

 

ケニア(10時間目)

 

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レディグレイ(見にくいのでいれたてを用意しました)

 

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ケニアは冷蔵庫でおいた物ですが、48時間経っても両者ともに茶の分布は変わらず。

 

で、いれる前のそれぞれの茶葉の大きさを見てみますと

 

ルピシア パラダイス(茶葉に水を入れた際の分布はケニアとほぼ同じで、上2、下8程度)

 

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セレクティー ケニア

 

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トワイニング レディグレイ

 

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となっていて、パッと見そんなに変わらない感じはしますが、パラダイスは明らかに細長く、ケニアはそれより控えめながらも細く長く、レディグレイは横に太く短い茶葉が多いように見えますね。

 

まあ、多いように見えるだけであって実際に数えてみると違うかもしれませんが。

 

で、パラダイスは放っておくと(下に溜まっているためか)全体的な茶液の色は午後の紅茶のレモンティーより薄いくらいでとても甘くておいしいお茶になりますが、あるとき抽出が効率的になることを願って上下を返したことがあります。

 

スプーンでかき混ぜて。

 

すると、色はほんのり濃くなった(午後の紅茶のレモンティーと同じかやや濃いくらい)んですが、苦みが強くなり甘さをほとんど感じない茶になってしまったんですよ。

 

パラダイスの水出し紅茶を作って7回目のことで、これまで失敗したことはありませんでした。

 

つまり

 

  • 茶葉が下に溜まったまま36時間経過させた紅茶
  • 何時間かおきにスプーン等で茶葉を上下に循環させた紅茶(今回は20時間の時点で1度混ぜた)

 

は、後者の方が明らかにマズくなったということですね。

 

もちろんこれは「渋みがあってはいけないパラダイスだから」というのもあるかと思いますが、ただ1回混ぜただけでここまで味が落ちるものか…と驚いた次第であります。

 

とりあえず、苦み・渋みが嫌ならば混ぜることなく48時間置くのがよさそうですね。

 

ちなみに抽出中に混ぜるのがあまり推奨されないだけなので、一番最初に水や茶葉を入れた段階では混ぜても大丈夫です。

 

どうやら茶葉の分布は48時間置いても変わらないようで、上に浮いた茶葉が水に浸かっていないと48時間後も同じく浸かっていないままになり実質3/4くらいの茶葉で抽出したような感じになってしまいますので、むしろ最初は混ぜたほうがいいかもしれません。

 

しかし、混ぜるとおいしくなくなるというのは

 

  • 茶の香りやうまみは時間さえかければどうやっても出てくる
  • かき混ぜることによって茶葉の周囲の濃度が薄くなってタンニンやカテキンなどのいやな部分が出過ぎてしまう

 

という感じなんでしょうかね…?

 

どちらにせよ「濃くなる」というよりは「苦く・渋くなる」という感じであります。

 

「同じ時間放っておいて、かつ混ぜたら(色は濃くなったが)味が悪くなった」ということは、思った以上に苦渋味が持つ甘さやうまさを隠すパワーは強いということなんでしょうか…?

 

3.後半は味が薄くなる

先述のパラダイスなんかもそうなんですが、パパイヤやクランベリーのドライフルーツは結構サイズが大きいため、袋を意図的に振った混ぜたりしなければ比較的細かめの茶葉が下に、ドライフルーツが上に多く分布してしまうこともあるかと思います。

 

つまり、袋や缶の最初のほうはオーナメント(花びらやドライフルーツなど茶葉以外の装飾品)が多いから香りやうまみは濃くなるが、後半になるにつれてサイズの小さいもの=茶葉の割合が多くなるため香りが弱くなるか苦みが増す可能性がある…と。

 

ここでもう1つ大事なことがありまして、パラダイスにはドライクランベリー、ドライパパイヤ、ドライマンゴーと入っているわけですが、ふつうのドライフルーツとはちょっと違うんですよ。

 

というのも、私も知り合いでも作っている人がいるんですが、ドライフルーツはコンポートにしたフルーツをソフト身欠きのように5〜8分乾程度にして作っているそうです。

 

簡単にいえば缶詰のフルーツを干したような感じですね。

 

まあ、コンポートにするのがいいか悪いかという話ではないんですが、お砂糖で煮るためよくも悪くもみんな似たような味になってしまうんですよ。

 

食べた感じそうですよね。

 

しかも香りが強いフルーツだと洗浄やメンテナンスが大変だそうなので、香料を付けたものや香りを活かしたものは作りづらいそうなんですね。

 

が、パラダイスに入っているドライフルーツはコンポートにしたものほど甘くはない上に香りがしっかりついているため、ふつうの紅茶よりは茶液への貢献は大きいんじゃなかろうかと。

 

つまり、フレーバーティーに入っているのが

 

  • ただの乾燥させたフルーツ(食べてもあんまり味がしないとか)や砂糖で煮たフルーツなのか
  • 香りがしっかり付いているドライフルーツなのか(パパイヤやマンゴー自体の香りとは若干違うが、袋を開けた時の香りと相違ないとか)

 

によって違うかもしれない、ということですね。

 

もっというと、前者のドライフルーツが入っている紅茶なら気にしなくてもいいけど、後者の場合はドライフルーツの数が香りのよさを微妙に左右しているかも…?と。

 

全体としてそこまでたくさん入っているわけではないですが、パラダイスが失敗した時はドライパパイヤとドライマンゴーが割合少なかったような感じがあったので、そのせいでもしかしたらちょっと香りが弱まった可能性がありますね。

 

2袋買って、最初の1袋目を飲みきる際はこんなことにはならなかったので、本当に「もしかしたら」レベルではありますが…。

 

ただ、もしみなさんがフレーバーティーを買う時に「ドライフルーツや花びらにめちゃくちゃ香りがついているが、茶葉はそうでもない」「おいしいんだけど、おそらく茶葉以外の味要素が大きい」という商品に出会うかもしれないので、参考にしてくだされば。

 

ということで、現状最善の策は「500ml用ポットならば500ml作る、1リットル用ポットならば1リットル作る」こと

エビアンと軟水が混ざらないのは先で述べた通りですが、ならば同じ茶でも分布によって味が変わるものかどうかも確かめてみました。

 

レディグレイをそれぞれ500ml用ポットと1リットル用ポットに入れ、茶葉の量も水の量もエビアンと軟水の割合もまったく同じで作ってみました。

 

つまり、茶葉は大さじスプーン3杯半、水は450ml(茶葉込みで500mlになるように)、エビアンと軟水は1:1にセットしまして、違うのは

 

  • 500ml用は茶葉が上7下3(か上8下2)くらいに分かれている
  • 1リットル用は下側が横に広いため全ての茶葉が接近している

 

という点のみ。

 

まあ、紅茶がおいしい理由はたくさんあるので、飲んでもどの成分が多いとかはよく分からんのですが

 

  • 茶葉が上にあればうまみが茶葉の循環(水出しでは大した循環はしてないですが)と共に下に降りてくるせいで、全体が同じ濃さになるまでどんどん味が出てくる
  • いやいや、むしろ、茶の味は下には降りてこないので、上がある程度濃くなればそこで抽出はほぼ止まり、全体としては薄くなる

 

などが考えられますね。

 

で、結果どうなったか?と言いますと1リットル用ポットに500ml分作った方が濃い紅茶になりました。

 

上下に分かれているものではなく、茶葉が密接しているほうが味の濃い茶になったということですね。

 

が、ここで注目すべきポイントとしては、

 

  • レディグレイはやや苦みがあった方がグレープフルーツやナツミカンが類推されておいしい気がする
  • 単体で飲むと「普通の味」という感じだが、飲み比べると明らかに濃い

 

という点で、レディグレイは渋みがあったほうがしっくりくる茶だから濃いと感じただけで、普通の茶は単に苦くなる、という感じがしました。

 

つまり、葉のデカいフルーツティーや香りのよいパラダイスやエディアールの4レッドフルーツ、マルコポーロなどの渋みを可能なだけ出さずに香りを移したい紅茶は、特にいじったりせずに大きめのポットで、茶葉が上下に分かれるくらいのたくさんの量を作ったほうがおいしい可能性があるということですね。

 

500ml用ポット(満タンだと600mlですが)ならば500ml(600ml)作る、1リットル用ポットならば1リットル作るという感じですね。

 

500ml欲しければ1リットル用ポットに500mlではなく、500ml用ポットに500ml作るべし…。

 

ややこしいですが。

 

もしかしたら「紅茶を作るときはたくさん作ったほうがおいしい」というのも、ここから来ているのかもしれませんね。

 

まとめ

 

  • エビアンと軟水は静かに注いでも混じってしまうため、どちらを先に注ごうと大した差はない

 

  • 茶葉によって上に留まったり下にほとんど沈んだりするが、下手に混ぜない方がよさそう(何時間かおきに混ぜたからといっておいしくなったりはしないっぽい)

 

  • ドライフルーツや花びらにいい香りがついた紅茶は装飾のおかげで上が濃くて、細かい茶葉のせいで下が苦い可能性がある(何回にも分けて作ると運悪くドライフルーツが入ってないかもしれないので、1度にたくさん作ったほうがいいかも?)

 

  • 香りが非常によくて葉の大きなフレーバーティーは500ml用の小さいポットにするか1リットルくらい作ったほうが(つまり、茶葉を密接させないほうが)いいかも

 

ということでした。

 

まあ、理由は不明ではありますが、とりあえず水出し紅茶は冷蔵庫に入れたらそのまま48時間放置したほうがよい、といった感じですかね。

 

はっきりとしないのがモヤモヤいたしますが、とりあえずめっちゃ香りのよい紅茶は

 

  • 500ml用ポットならば500ml作る、1リットル用ポットならば1リットル作る

 

というのがオススメ…と言えるでしょうか?

 

1リットル用ポットに500ml作ると苦い茶になる可能性があるので、(ある程度の誤差は仕方ないとして)下手にいじらぬよう注意しながら作っていただくのがよろしいかと。

 

また、今回実験してみてやはり200mlあたりに茶葉1杯は薄いかもなーと思ったので、「200mlあたりに1杯+1杯」くらいがいいかもしれませんね。

 

ということでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フルーツティーに砂糖やドライフルーツが必要ないことを証明してみせよう 「エディアール 4レッドフルーツ」

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今回登場するお茶
エディアール 4レッドフルーツ(メイン)
ル・コルドンブルー 4種の赤い果実ティー

 

 
「おいしいフルーツティーを飲みたければ…」と過去に書いたことがありましたが、今回はオレンジティーに引き続きベリーティーのお話を。

 

ベリーといえば、かつてル・コルドンブルー 4種の赤い果実ティーの記事を書いたことがありました。

 

そちらも「これでもか!」というほどベリーやフルーツの香りがありますが、その一方で若干まだお茶っぽいかな?と。

 

tanabu.hatenablog.com

 

ル・コルドンの記事では「(私としては)お茶感はあまりない」と書いていますが、久々に飲んだら「もしかしたらちょっと違和感を覚える人もいるかも…」と思いましたので。

 

ということで今回はお茶感の全くない、フルーツとベリーの香りが合致した紅茶エディアール 4レッドフルーツ」です。

 

これまた、フルーツやベリーと一緒に紅茶を抽出したり、ジュースを混ぜたりしても絶対に作れない味であります。

 

例えるなら4レッドフルーツは味噌ラーメンのような複雑さである

エディアール自体は「アッサム」「イングリッシュブレックファースト」「4レッドフルーツ」しか買っていませんが、レッドフルーツ以外の商品は思いのほか普通でした。

 

こんなに高くなくていいのにな…というか。

 

缶のデザインが一際目をひくエディアールですが、なぜかアッサムばかりが売っているような気がします(ミルクティー用に?)。

 

ちなみに、エディアール自体は案外売っているものの、4レッドフルーツは店売りを見たことが一度もありません。

 

レッドフルーツはおいしいですが、アッサムやイングリッシュブレックファーストは値段も2400円くらいでありますので、「この値段ならば、さぞ素晴らしい紅茶なんだろう!」と期待すると残念なことになるかもしれません

 

それは置いておいて。

 

肝心の4レッドフルーツの内訳は「ストロベリー」「ラズベリー」「レッドカラント」「レッドチェリー」だそうであります。

 

が、紅茶自体の香りは上記に挙げたフルーツそれぞれ香りとは結構違う印象でして、私も今日の昼にイチゴとラズベリーを食べましたが、やはりそんなに似てはいないかなと。

 

なので、あくまで「4レッドフルーツ」という香りの紅茶なんだという認識がよろしいかと。

 

ベリー系の香りとは分かるけど、何のベリーかと聞かれると…という感じ。

 

例えるなら味噌ラーメンみたいな感じですかね。

 

味噌ラーメンも決して味噌をといただけの味ではなく、鳥ガラとかにんじん、ショウガなどいろいろ入れた深〜い味ですよね。

 

味噌ラーメンとは分かるけど、「スープのベースと味の決め手となった調味料を挙げろ!」と言われるとなかなか難しいもの。

 

味噌の種類がよくないのかダシが足らないのか、未だに自宅で作る味噌ラーメンはカップ麺を超えられません。

 

すみれとかおいしいですよね。

 

といった感じで、4レッドフルーツは「それぞれの要素を把握するのは難しいけど、出来上がった物はとてもおいしい」という点も味噌ラーメンと共通するものがあります。

 

はい。

 

本当に砂糖の存在が霞んでしまうくらいフルーツを感じる紅茶である

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そんな4レッドフルーツのおすすめのいれ方は

 

 

です。

 

この記事を最初に書いた去年の5月時点ではパラダイスアイリッシュクリームを知らなかったんですが、あれらと同じように「紅茶の味がはっきりするわけではないが、ベースが紅茶でないとダメなやつ」という感じですかね。

 

本当に香りがよいです。

 

まさに「おいしいフルーツティーが飲みたければ砂糖やフルーツを使うのではなく、おいしい香りのついた紅茶を買うのがよい」を体現した商品と言えましょう。

 

こんな具合なので、アッサムやイングリッシュブレックファーストを飲んで、「レッドフルーツ?他も微妙だったし、これもどうせ微妙なんだろう…失敗するのやだなぁ」とスルーされてしまうのは大きな損失かと。

 

そう思って買うのを一瞬躊躇った人間がここに一人いますが(笑)

 

というわけで、そもそもベリーの香りがついたフレーバーティー自体あまりないですが、おいしいフルーツティーが飲みたければ、これを外す手はない!と言えるくらいおすすめできる商品でした。

 

ちなみにエディアールとル・コルドンはどっちを先に買えばいいのか?という話になりますと、私はエディアールの方が好きです。

 

お茶感が全くなく、水のように体に馴染むので。

 

が、ル・コルドンがおいしければ4レッドフルーツもおいしいと感じてもらえるはずなので、合うかどうかわからないけど試してみたい方は、エディアールよりちょっと安めのル・コルドンからスタートするのがよいかもしれませんね。

 

いずれにせよ、どちらも優劣つけ難い、素晴らしい紅茶であります。

 

まとめ

 

  • エディアールの4レッドフルーツは非常に香りが豊かでおいしい。その他の茶葉は値段の割に普通の味

 

  • 香りはよいが、生のイチゴやラズベリー、チェリーでは出すことのできない味と香り(なので、それらやフルーツジュースの代用にする方はちょっと注意した方がいいかも)

 

4レッドフルーツのおすすめのいれ方は

 

  • エビアン100%かエビアン:軟水か水道水=1:1の水出し紅茶で200mlあたりに茶葉3gか大さじすりきり1。抽出時間は冷蔵庫で36〜48時間

 

  • 軟水100%の熱湯・水出しには絶対してはならない(これらのいれ方はミルクティーとしてフォローするのも難しいくらい香りがしないため)

 

という感じでした。

 

アホみたいに「おいしい」「うまい」ばかり書き連ねる記事になってしまいましたが、本当においしい紅茶です。

 

私がお店を出すことがあったら看板メニューにしたいですねー。

 

参考までにどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全生産量の1%にも満たない貴重な茶葉で本物の香りを 「セレクティー ケニア オレンジペコー」

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今回登場するお茶
・セレクティー ケニア オレンジペコ

今回紹介するいれ方
エビアンと軟水を使った水出し【特殊】 

 

 

紅茶はやっぱりフレーバーが着いていた方がおいしい?

私も最近フレーバーティーの記事ばかり書いているように、おいしい紅茶といって挙げられるもののほとんどがフレーバーティーなのであります。

 

巷のおいしい紅茶ランキング!でも上位に入っている紅茶はほぼそうですよね。

 

が、みなさんはおいしい紅茶ってそもそもどんなものなのか?というのを考えたことはありますでしょうか。

 

というのも、私もよく「紅茶の香り」などと言いますが、フレーバーティーがおいしいのは過去に食べたり飲んだりしておいしい!と感じたいい香りがついているからであって、紅茶の純粋な力によるものではないことがほとんどであります。

 

もちろん、茶がまずければどんなにいい香りだろうともおいしくはならないですが、やはりフレーバーティーが自然な香りで誰にでも好かれるか?紅茶との合わせ技で作られた黄金比か?言われれば決してそうではないのも事実。

 

私は「グレープフルーツそのものだ!」といっても、「このわざとらしい感じが苦手」という人もいますからね。

 

ということで、今回はフレーバーティーが飲めない・フレーバーティーじゃないおいしい紅茶ってないのか?みたいな人のために、茶の味そのものがおいしい紅茶のお話を

 

もちろん純粋においしい紅茶はないのか?という方にも。

 

今回は「セレクティー ケニアです。

 

おいしい紅茶が飲みたかったら結局フレーバーティーを飲むしかない!というわけではないんだ、と分かっていただければ。

 

私もたまには何にも味付けしない粥が食べたくなったりしますし、ふとしたことで好みが変わったり必要になったりすることもありますからねー。

 

まあ、品揃えの一環として。

 

 

 

 

ケニアはミルクティー用の茶葉ではあるが、全てがそうではないぞ

まず「ケニア」という茶葉の特徴なんですが、ミルクティー・チャイ用と書かれているように

 

  • 渋みが濃く、それでいて紅茶としての味は比較的薄めである
  • 茶液自体はココア(砂糖なしのパウダーをお湯に溶いたやつ)に近いような味である

 

と認識してもらえればだいたい間違いはないかと思います。

 

「まんまココア!」というのではなく、強いて近いものを挙げるなら…といった具合ではありますが、ミルク用とされるのも当然といったような味です。

 

さらにケニアはほとんどCTCとして出回っていて、仮に製茶前によい茶葉だったとしても苦みが強くなってしまうためおいしく飲むのがまず不可能なのであります。

 

なぜかというと、CTCは茶葉を細かく砕く際に滲み出たエキス(うまみも濃いかもしれないが苦みも濃い)が乾燥して纏わりついているため、どう頑張っても茶液が苦くなってしまうからです。

 

カップヌードルなんかは粉末調味料が乾燥麺にくっついていますが、例えるならあんな感じですね。

 

そして、みなさんご存知の通り、「苦み100%うまみ100%」よりも「苦み20%うまみ40%」の方がおいしい紅茶だと感じられます。

 

実験でもこれは出ておりまして、苦い茶に茶の甘み成分とされているテアニンやその他のうまみ成分を後から添加したところ、平時の5〜6倍程度の濃度にしたにも関わらず甘くなったりおいしくなったりせずに苦みが減少しただけ(依然として薄い茶の方が嗜好性は上だった)であったため、苦い茶に何かを足すのは現実的ではなかったそう。

 

だから世の紅茶は基本的に「薄くするか」「ミルクや砂糖を入れるか」なんですね。

 

あれらは「紅茶をおいしく飲む方法」ではなく「おいしくない紅茶をなんとか飲めるようにする方法」ということです。

 

ミルクティーは世界の紅茶消費の95%を占めるそうですが、95%の意見が一致する=人間にはそう反応する(苦みを嫌う)システムがある、と見るのが妥当じゃないでしょうか。

 

で、特徴の薄めな紅茶をさらに苦くなるようなCTCで売っているわけですが、大抵のケニアは今まで通りミルクティーでいいんです。

 

「本当はもっといい飲み方があるが…」みたいにならないので、罪悪感なくミルクティーにできますから。

 

が、すべてのケニアがそれでいいわけではありませんでした。

 

エビアンとちょっとの軟水で、いつもより長めに置く

ミルクティー用とされているケニアですが、今回紹介するセレクティーケニアだけが唯一カカオのような、ダークチョコレートのようなちょうどいい苦みに豊かな香りがあるんですよ。

 

「カカオのお茶ですよー」と言われても納得できるくらい(作った自分もびっくりするくらい)で、チョコレートは固形なんで違うかもしれませんが、本当にカカオ以外に例えるのが難しいくらいの香りになります。

 

そのカカオティーの具体的な作り方を申しますと、

 

  • エビアン:軟水か水道水=7:3の水出し紅茶

 

にします。

 

いつもは1:1ですが今回のみ7:3で、軟水100%の水出しにするとほとんど苦みだけになってしまい、かつエビアンを入れないと甘みが出ないためこの割合であります。

 

じゃあ、エビアン100%がいいんじゃない?と思うかもしれませんが、それだと苦くはならないもののぼんやりとしていて、やはり軟水がちょっと入ることによって一気にカカオに化けます。

 

冷やし中華のタレなんかもそうですけど、ごま油を入れる前は、レシピだけ見たらまんま照焼きのタレですもんね。

 

それと同じで、ちょっとの差ですが、大幅に変わります。

 

もうひとつポイントがありまして、それは48時間以上置くことです。

 

いつもの水出しは24時間で普通かやや薄め、48時間で濃いめなんですが、セレクティーケニアの場合48時間は置かないと味が出ませんでした。

 

エビアンが多いからですかね。

 

最初実験した際は間違えて3日半くらい置いてしまい、次はピッタリ48時間でやったんですが前者がベストでした。

 

48時間よりも前だとちょっと濃厚な普通のケニアという感じでさほどおいしい感じはなかったため、セレクティーのうまさには気付かなかったかもしれません。

 

間違えてよかった。

 

まあ、他の紅茶よりゆっくり味が出るぞ!という認識でよろしいかと。

 

ちなみに、セレクティーケニアがうまかったのでもしかして…?と思って手に入れた全部のケニアを72時間でやってみましたが、このように味が変化するものはありませんでした。

 

もっと高いケニアだと変わるかもしれませんが、500g3000円、つまり100g600円という破格の安さでこの味が出せるのもセレクティーケニアの優れた点ですね。

 

参考までに、日東紅茶が110g560円です。

 

ケニアという茶葉のオレンジペコーは全体の1%にも満たない貴重な茶である

そして、セレクティーケニアが素晴らしいのは、おいしいのに加えてオレンジペコである点であります。

 

紅茶系の書籍によると、紅茶消費大国の要請によりケニアのほぼ100%、アッサムの90%がCTCかティーバッグにされているそう。

 

つまり、(全体の生産量が多いんでそこそこの量なのかもしれませんが)オレンジペコーはケニアの生産量の1%にも満たない量しか作られていない、非常に貴重な茶葉ということなんですよ。

 

作られていないというよりはオレンジペコーのまま出回るのが、という感じですかね。

 

そのうちすべてCTCになってしまわないか心配です。

 

世界中がこのカカオのような茶を飲んでもストレートじゃなくミルクティーにしたい!というなら受け入れるしかないですが、おそらくそうではないと思いますし…。

 

むしろ、CTCとかミルクティーのせいでさらに紅茶の消費は低迷しているんじゃないかとさえ思います。

 

なぜなら、どうせミルクティーにするなら100g1500円とか2000円の紅茶を買う理由がないですからね。

 

1500円の紅茶と200円の紅茶を熱湯でいれて似たような味になったら、最初はともかく、2回目からはおそらく後者を買いますよね。

 

しかも、ミルクティーにとって大事な渋みであるタンニンは安い紅茶にも入っていますし、味のほとんどが砂糖じゃないですか。

 

ミルクティー用の茶葉として見れば代わりはいくらでもありますし、テイスティングや普通に出てくるいれ方では正直なところあまりおいしくはないので、後悔するか2度と買わないかのどちらかになりそうです。

 

私も紅茶を飲み始めて間もないころ、200g入り2500円のディンブラで似た経験をしたことがあります

 

ディンブラは本当にどう作っても渋いので、

 

  • 調べたら「ストレートでおすすめの茶」と書いていたが、苦くておいしくない(これは午後の紅茶のストレートみたいなのを買わずに作れる!と勘違いしていた自分も悪いですが)

 

  • ミルクティーにするとしても、もっと安くて似たような味の茶葉はたくさんあるため袋を見るたびに無駄遣いしたような気がする

 

  • 調べても熱湯とミルク以外のやり方が出てこないので、いつまでもなくならない(アイスティーも結局熱湯を薄めただけですし、牛乳を飲むとお腹にくる人も多いので)

 

と、好意的に捉えるのがかなり難しい感じでした。

 

おいしい紅茶をたくさん知っていたらまだしも、上記のような経験をして「次こそは!」「たまたまっしょ!」なんて思わないですよね…。

 

なので、紅茶業界を盛り上げたいとか紅茶を広く知ってもらいたいならば、ケニアのような実力のある茶葉や水出し紅茶を疎かにすべきではないなと、そう思う次第であります。

 

まとめ

 

 

  • エビアン:軟水か水道水=7:3で、200mlにつきティーメジャー3gか大さじスプーンすりきり1杯、抽出時間は48〜72時間

 

  • 次点はエビアン:軟水か水道水=1:1で上記と同じ要領でOK

 

 

ということでした。

 

まぁ、これもカカオっぽい味がするのである意味フレーバーティーっぽいと言えばぽいんですが、ただ水に浸しておくだけでそれが作れてしまう能力の高さは素晴らしいですね。

 

ぜひダークチョコレートのようなカカオの効いたおいしい紅茶をどうぞ。

 

チョコの香りがついた紅茶やアールグレイはたくさんありますが、本物のチョコはあんなにブンブン香りはしないのでケニアの方がよりカカオっぽいかと。

 

まあ、カカオというのも人によるので何とも…ですが、紅茶というカテゴリ全体から見ても、ここまで香りのするものは貴重でありますので、ぜひお試しくださいませ。

 

ちなみにケニアの紅茶は3月くらいから出回るようで、オレンジペコーがなかったのは時期的なものだったようで一安心。

 

30年くらい前の茶の本によると

 

マラウイケニアの品種はこれから隆盛が期待されるが、加工に適した時期が非常に短いため粗製になることが懸念される

 

 

とありまして、もしかして全部CTCにされてしまったのか…?と心配しておりました。

 

ぜひともこの味を守り続けてほしいですね…。

 

今年も買います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わりと真剣にダージリン ファーストフラッシュの役割について考えてみる

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初物が高値で取り引きされる文化のある日本だからなのか分かりませんが、「新」「初」と呼ばれる物が現在でも高く売られております。

 

また日本ではなく海外の商品が中心ですが、紅茶もダージリンのファーストフラッシュと呼ばれる春摘み茶は高いです。

 

ファーストフラッシュはダージリンのみならず紅茶全体から見ても、特に苦みが際立って強いのが特徴ですね。

 

私はあまり好きではないので「あの味が好きな人は好きなのかなー」「世界は広いからなぁ」と思いつつも過ごしていたんですが、偶然にも「もしかしてファーストフラッシュが高い理由はこれか?」と思うようなものを見つけました。

 

私は落語が好きで立川志の輔さんの作品をよく聞くんですけど、あるとき「御神酒徳利(おみきどっくり)」という回の中で「流行語大賞の表彰式」について志の輔さんがお話ししていた場面があるんですよ。

 

1998年?の話らしいんですが、ざっくり言いますと

 

佐々木主浩投手と田中眞紀子、パイレーツの4人をカメラに同時に収めようとすると物凄いギャラが発生するが、賞をあげるとタダで集まってもらえる。

そして、現代用語の基礎知識が選ぶ…と書くことによって新聞や雑誌、テレビなどのあらゆるメディアに宣伝することができる。

 

ということだそう。

 

www.jiyu.co.jp

 

その手があったか、という感じがしますね。

 

と思って見ておりますと、今度はたまたまマグロやカニの初競りが高額な理由!みたいな記事を見つけまして(表彰式の話を聞いていなければスルーしていたかも)。

 

結論から申しますとこれもどうやら宣伝や広告になるからだそうで、確かに「どこの誰が落札!」なんて大きく書かれたりテレビで放送されたりしたらいい宣伝になりそうな感じはしますね。

 

「あっ、あのマグロを買ったってテレビに出てた寿司屋だ」みたいな。

 

そしてそこから、もしかしてダージリンのファーストフラッシュが高いのも「高値がついたら全世界へ向けた宣伝になる」みたいに目的は同じなのかしら?と感じた次第であります。

 

例えば、現在「紅茶といえばキャッスルトン(の名を挙げておけばツウっぽく見える)」みたいなところがあるわけですが、そう考えると宣伝としては功を奏しているのかもなー、と。

 

「キャッスルトンの新作入荷!」「最高峰!」と書けば伝わっちゃいますからね。

 

ちなみにキャッスルトンでも100g1000円のダージリンとかはあるんで、我々庶民が手にするのは畏れ多いなんてことはないと思います。

 

逆に、ブラインドテイスティング「結構おいしい番茶だな」と思ってシールを見たらダージリンオータムフラッシュ50g2600円だった、みたいなこともありますし…。

 

100均の全く同じ色の茶筒を4つくらい用意して、ルピシアの番茶、高いダージリンのオータムフラッシュ、まあまあのアッサム、ほうじ茶と移し替えておくんですよ。

 

そしてランダムにどれかを取って茶をいれ、飲んでから茶筒の底に貼ったシールと答え合わせ…みたいな。

 

何回も飲んでいると味を覚えてしまうので時間を置いてやるべきですが、意外と楽しいですよ(笑)

 

それはいいんですが、宣伝のために高値で取引するのが通例になっていると考えると、100g5000円のダージリンが思ったほど味がしない理由も分かるような気がしてくるのであります。

 

「バーンとデカく宣伝されてた茶目的で来たけど、ついでにその店で買ったこっちの方がうまかった!また行こう」みたいなこともあるので、良い悪いは一概に言えないと思いますが…。

 

ただ、やはり好みが分かれるというか人を選ぶところが多分にあるため、今回はダージリンファーストフラッシュについてのお話を。

 

甘み・うまみは誰でも好きだが、苦みはそうではない

ファーストフラッシュってどんな味?と聞かれて一番近い物を挙げるとしたら「おーいお茶 濃い味」でしょうか(最近は飲んでいないのでおーいお茶の味が変わった可能性がありますが)。

 

甘さはほとんどなく「本当に渋みを味わうためのお茶」という感じなので、果たして紅茶と言っていいものかどうか…。

 

「茶は苦くないといけない」とか「甘い茶なんて気持ち悪い…」みたいな人にはいいかもしれませんが、みなさんご存知の通り、苦みというのは甘みのように万人が好むものではないため、慣れてもおいしく感じないこともままあるのが悩みどころ。

 

多くのサイトでダージリンが「薄くいれることを推奨している」ことからも分かるように、「渋みを味わうもの」と言いつつもやはり飲みづらいのだと思われます。

 

1分や2分であれば渋みは抑えられますが、それだけうまみも少なくなるでしょう。

 

これは緑茶の実験ですが、95℃〜100℃2分で「カフェインのほぼ100%、タンニン(カテキン)の約70〜75%」が出てしまうことが確認されています。

 

対してアミノ酸や茶のうまみと言われている成分は、短くとも4〜5分程度は置かないと感じることすらままならない程度しか出ないことも分かっているんですよ(感じないのは渋みが強すぎるせいもある)。

 

つまり、アミノ酸は低温でも置けばしっかり出るんですが(90℃でも60℃でも50℃でも10分置けばだいたい同量になる)、カフェインとタンニンは80℃を超えると「待ってました!」とばかりにどんどん出てくる、と。

 

そして出てきたが最後、砂糖やミルクを入れるしかないと(ファーストフラッシュにミルクや砂糖は合わないですが)。

 

だから、渋みを出さないような低温や水出しでいれるとおいしいと感じやすいんですね。

 

出てきた渋みをカバーできるほどの甘みやうまみはないでしょうから…。

 

よって、確かにダージリンのファーストフラッシュは高いんですが、その値段の高さは少なくともおいしさの保証ではないのでは…ということが言えるのではないかと。

 

米で例えるなら、高い紅茶を見るとコシヒカリをイメージしてしまいますが、実際は人件費やら出張費やらで値段が倍の普通の米だった、みたいな。

 

日本だとあんまり無さそうな話ではありますが。

 

ファーストフラッシュは好みで決めてしまおう

ということで結局ファーストフラッシュをどうするか?と言いますと、

  • 既に買ってしまった方は「食事中に飲むお茶(マテ茶亜種みたいな)」として肉料理やパスタ、カレーと共に飲んでいただくのがおすすめ

 

  • 飲んでみようか迷っている方は安いダージリンから試していただくのがおすすめ

です。

 

どうやら、タンニンは油とそれに付随するタンパク質を固めて流してくれるため、渋み・苦みの強いお茶は口内をリセットする目的ならば適役になります。

 

さらにここでファーストフラッシュを使うともう1ついいことがありまして、紅茶の味や香りが弱い(草っぽい味はしますが)ので、料理の味を邪魔しないんですよ。

 

本当に「さっぱりする」といいますか。

 

水や普通のお茶とは違った爽快感があります。

 

それに、おそらく値段を知っているから「この値段でこの味なのか…」となるだけであって、普通にパスタとか揚げ物と一緒に出てきたら結構合うというか、問題なく受け入れられるんじゃないでしょうか。

 

付け合わせの茶として出すには高すぎるかもしれませんが、ペペロンチーノとかにいいですよ。

 

さて、次のダージリン ファーストフラッシュを買おうかどうか迷っている方は、おそらく最も低価格でファーストフラッシュ感を味わえる「メルローズ クイーンズダージリンをどうぞ。

 

 

 

同価格帯か2000円以内でこの味がするのはメルローズくらいじゃないでしょうか。

 

前述のように油の多い食事のお供にしてもいいですし、この味が好きになる人もいるかもしれません。

 

ちなみに私もこのメルローズは案外嫌いではなくて、運動しすぎて疲れた時とか体調が優れない時には秘薬感覚で飲んでいました。

 

体にいいものを飲んでいるような感じですね。

 

もしかしたら、メルローズはあんまり高くないので余計なことを考えずに飲めるのがいいのかもしれませんね。

 

ということで、ファーストフラッシュは「どうすればおいしくなるか」というのではなく「こういう味なんだ」と思って飲んでいただくのがよいかと。

 

本当に味が変わりませんので。

 

まとめ

 

  • ファーストフラッシュが高いのは多分味ではない

 

  • 多くの紅茶は渋みの中に甘みがあったり、渋みを出さないと驚くほど香りがよかったりするが、ファーストフラッシュは苦み・渋みがメインで、いれ方を変えてもあまり味が変わらない

 

  • 既に買っていてどうにか消費したい方は、紅茶としてではなくマテ茶とか黒烏龍茶のような感覚で飲むのがおすすめ

 

  • これからファーストフラッシュがどんな感じか知りたい方は、メルローズのクイーンズダージリンが安価でおすすめ

 

という感じでした。

 

名前は紅茶でありますが、あまり紅茶と認識して飲むべきではないと言えるのではないでしょうか。

 

ちなみに、過去に私が飲んでファーストフラッシュっぽかったダージリン

 

 

ですね。

 

これら↓

 

 

 

 

「ちょっと違うぞ」と覚えておいてもらえればよろしいのではないかと。

 

余談ですが、FTGFOP(ファイネスト・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジペコー)は茶の等級を表す言葉ですが、一時期イギリスでは「Far  Too  Good  For  Ordinary  People(お前ら一般人にはあまりに良すぎる茶だ)」なんてジョークが出回ったそう。

 

非常に底意地が悪い感じがしますね。

 

まあ、自分がおいしいと思う紅茶を飲むのがよさそうです。

 

そして、とりあえずダージリンのファーストフラッシュは「王道」とか「ツウを唸らせる逸品」とは思わないのがよろしいかと思いますね。

 

ご参考までに。