マスカテルフレーバーを名乗ってよいであろう唯一無二のダージリンティー「フォション インディアンダージリンFOP」
今回登場する紅茶
・フォション インディアンダージリンFOP/インペリアルダージリンFOP(メイン)
・フォション モーニング
今回紹介するいれ方
・水出し紅茶
現代アートと同じくらい難しい飲み物「ダージリン」
ダージリンはよく
「マスカテルフレーバー」
「芳醇な香りで、紅茶のシャンパンと呼ばれます」
などと説明されていますが、実際そこまで香りがする物は少ないように思います。
研究がてらいろいろ飲んでいますが、有名どころを試してもなかなか「これがマスカテルフレーバーか!」とか「(マスカテルとは違うのかもしれないけど)うまいからOK!」と思えるような紅茶はあまりなく…。
何というか、現代アートと同じかそれ以上に拡大解釈しなければとても「マスカット味」「芳醇」とは言えないような紅茶ばかりであります。
絵も「巨匠◯◯の作品!」とあるからすごいような気がする面があると思いますが、紅茶も「△△農園!50g12000円!」とあるからすごいような気がしてくる、というのはありそうですよね。
何の変哲もない普通の円を「宇宙」とか「生命」と解釈するのと同じかそれ以上に難しいと思います。
が、紅茶はアートではないので、今回はダージリンひいては紅茶のお手本となるような、入手難度の低さ(オークションや時期物でない)とおいしさを両立した素晴らしいダージリンを紹介したいと思います。
それが「フォションのインディアン/インペリアルダージリンF.O.P」です。
どうもダージリンと聞くと「苦み」とか「雨が降った後の草むらみたいな香り」みたいな味をイメージして「飲みづらそうだなぁ…」と感じてしまいますが(私だけ?)、それらとは全く系統の違うダージリンです。
どれくらい違うかと言いますと、同じウリの仲間であってもメロンとゴーヤくらい、どうしようもない差があります。
まぁ、ゴーヤの味をメロンやスイカ、マスカットの味だと思える方はご自由にどうぞ。
ちょうど紅茶もゴーヤと同じで苦いですし。
それはいいんですが、有名どころをいろいろ飲み比べた感想としては「多くの紅茶紹介サイトや特徴まとめなんかのダージリンは、みんなフォションのことを書いているのかな?」と思うくらいの味であります。
そう考えるとダージリンとしてはかなり異色?ということになりますが、何にせよ、おいしい紅茶探しに疲れた方なんかはぜひ参考にしてみてください
「紅茶は渋みを味わうもの」と捉えると急に難しくなる
紅茶好きには渋みが好きな人が結構多いそうなんですが、ダージリンの話をする前に紅茶の香気成分についてのちょっとおもしろいお話を。
紅茶や烏龍茶の品質を比較した研究なんかは調べてみるといくつかありまして、それによると紅茶、特にダージリンは基本的に値段が上がれば上がるほどリナロールやゲラニオール(マスカットや桃などいろいろなフルーツに含まれている芳香成分)の量がちゃんと増えているそうなんですよ。
ダージリンは倍程度まで増加、ケニアやアッサムは20%くらいの増加だったそう。
たまたま実験に使ったお茶がそうだっただけかもしれませんが、カテキンやタンニンの量はあまり増えていなくとも上記の成分には明らかな差があることが書かれていました。
ということは、普通に考えれば高い紅茶ほど桃とかマスカット、さらに広く考えれば花のような甘い香りが強くなっているはずですよね。
というか、倍にまで増えているなら安い紅茶と高い紅茶の味に差があって然るべきですよね。
つまり、大抵の紅茶やダージリンでセールスポイントとされている「苦み・渋み」というのは高い紅茶の本来意図するところではない、と言えるわけですね。
なぜなら、苦みだけなら安い紅茶の方が上だからです。
まぁ、紅茶の苦みを楽しめるのがツウ!みたいなのはちょっと違うんじゃないか、と。
どう味わうかは人それぞれなんですが、わざわざ3〜5倍のお金を払って同じ味の物を飲むのは私はもったいないと思います。
それは1缶200円しないくらいのトリスのハイボールを、バーでグラス1杯1500円で飲んでいるようなものですよ。
かなりもったいないですよね。
しかし、しっかりと値段分のおいしさと香りを見せてくれるのが「フォションインディアン/インペリアルダージリンFOP」です。
ちなみにインディアンとインペリアルがあるんですが、目立って味の変化はないように感じられました。
量販モデルの缶に入っているこちらがインディアン
贈答用の缶に入っているのがインペリアル
ですね(反射して撮影がキツイ)。
しかし、そんな素敵なフォションのダージリンですが、どんないれ方でも諸手を挙げておいしいと感じられるわけではありません。
高い紅茶の特権である芳香を引き出す
過去にダージリンの記事にて「エビアンや硬水で作ってもあんまり味が変わらないから水道水でOK」と書きましたが、このフォションのダージリンだけは例外です。
なぜなら、この紅茶はちょっとお高めの花屋のようないい香りがしますが、それはエビアンを使わないと露出しないのであります。
厳密に言えば缶を開けた時の香りが既に花の蜜のような感じなので、「普通とは違うな」と感じる人もいるかと思うんですが、いざ茶液にその香りを移すとなるとエビアンが必須、ということですね。
よって、おすすめのいれ方は
です。
とりあえず、これで「あっ、マスカテルなのかな」と思えるような香りが分かります。
個人的にはエビアンと軟水のミックスが好きですが、私の周りにはエビアン100%の方が好きだなぁという方もチラホラいたので、両方ともお試しください。
紅茶を買うと多くの人が
- 普通に熱湯でいれる
- 「でも、熱湯はちょっと違うかな?」と思って水道水の水出しにする
のどちらかだと思うんですが、値段分の味を感じられない可能性が高いため両者とも非推奨です。
まぁ、ただ熱湯でいれただけでも薄いながら他のダージリンよりいい香りはしますが…。
しかし、そこで「この花のような香りをもっと強くできないかなぁ」と思って水道水の水出しにしても、そのダージリンのピークはポットを開けた時やカップに茶を注いだ瞬間です。
つまり、飲む時には既に香りがないんですよ。
これがどのくらい非情かといいますと、まるで「みなさんが香りのよいダージリンを飲もうとカップを持ち上げた瞬間、時間が止まり、何者かが中身を安物の紅茶に入れ替えてみなさんの手に戻した。もちろんそんなことは知る由もない」みたいな感じです。
もしくはドラえもんのトッカエ・バーで中身を変えたか…。
どちらにせよ、「何か変だぞ」と感じる人が多いはずであります。
ただ、もうそんな嫌な思いをすることはなくなるかと思いますので、ぜひお試しくださいませ。
まとめ:ダージリンはバラの花に結構近いらしい
- ダージリンをはじめ、紅茶は値段が上がれば(=質が上がれば)芳香成分が多くなる。つまり、フルーツが高ければおいしかったり濃厚だったりするのと何ら同じ
インディアン・インペリアルダージリンFOPは
という感じでした。
ちょっと私は嗅いだことがないんですが、ウチの親によると、茶液の香りは「(香料として作られた方ではなく)土に植えてあるバラそのものに結構近い香り」だそうです。
まぁ、「はっきりとバラ!」というよりは「こういう香りのバラがあったよね」という感じらしいんですが。
とすれば、よく紅茶紹介の説明に「バラのような香り」と書いてあるのも、あながち間違いではないのかもしれませんね。
ただ、フォションのダージリンレベルにならないとそれが分かる形では出てこないようです。
ということでした。
まぁ、「試してみてくれ!」としか言えないんですが、有名どころの初物とか新物を買うよりは確実に当たりを引けるので、ギャンブラーになりたくない方はぜひ。
ちなみに、「いきなり3000円は…」と思う方はモーニングをどうぞ。
フォションのモーニングの香りをより強め、渋みを除いたものがダージリンといった感じの味なので、お試しにはよろしいかと。
3000円の紅茶と張り合えるくらいの実力があります。