カテキンを効率よく取るために適したお茶の温度とは
お世話になっている「茶道学大系」に載っていた興味深いお話を。
お茶のカテキンと言えばエピガロカテキン(EGC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、エピカテキンガレート(ECg)の4種類が主だそうですが、実は淹れ方によってそれぞれの量、特にエピガロカテキンガレートの量が結構変わるそうです。
どの温度でいれれば、それぞれのカテキンは効率よくとれるんでしょうか?
エピガロカテキンガレートは熱湯で
これは中級煎茶に対して行った実験ですが、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃で3分淹れ、それぞれどの程度カテキンが抽出されたかを調べたものです。
結果は
- 80℃/3分:EGC24.1mg、EC5.0mg、EGCg23.1mg、ECg6.3mg
- 70℃/3分:EGC21.6mg、EC4.2mg、EGCg18.7mg、ECg5.1mg
- 60℃/3分:EGC17.9mg、EC3.4mg、EGCg13.1mg、ECg3.6mg
- 50℃/3分:EGC16.0mg、EC3.0mg、EGCg10.3mg、ECg2.9mg
- 40℃/3分:EGC12.8mg、EC2.3mg、EGCg7.1mg、ECg2.0mg
- 40℃/10分:EGC22.9mg、EC4.4mg、EGCg15.0mg、ECg4.2mg
となったそう。
大体我々が教わる淹れ方であろう60〜70℃よりちょっと熱めだと、よりたくさんのエピガロカテキンガレートを摂取できるようです。。
ちなみに上記の数値は茶葉1gに対して水分100mlだそうなので、普通に淹れればもう少しそれぞれの値は増えるはず。
80℃3分くらいでも一般的な淹れ方よりもやや長めですが、しっかりカテキンを取りたいならやはり3分以上は置いた方がよさそうですね。
緑茶はだいたい1日5〜7杯くらい飲めばいいそうですが茶によっても含有量は違いますし、そんなにガブガブ飲まない人もいるとは思うので、たくさんお茶を飲まない人は1回の茶でしっかり取るために80℃3分か、いつものお茶をちょっと長めに置くのがよい、といった感じでしょうか。
ただ、高温だとカフェインの抽出量もやや多めになるので、ぬるめか水出しの緑茶と普通の緑茶を合わせて飲むのもいいかもしれませんね。
ちなみに海外では紅茶のアイスティーを毎日16杯飲んで病院のお世話になった方がいるそうですが…(これはシュウ酸の摂りすぎだったそう)
やはりお茶はガブガブ飲むのではなく丁寧に淹れて味わって飲むべきかもしれません。
抽出時間はカフェインを目安にしてもいいかも
ちなみにカフェインは1日400mg以上取ると危ないそうなので、それを目安に紅茶や緑茶を調整してもらえればいいかもしれません。
ちなみに数値としては
- 80℃3分:24.3mg
- 70℃3分:21.7mg
- 60℃3分:15.6mg
- 50℃3分:12.7mg
- 40℃3分:9.4mg
- 40℃10分:18.0mg
となったそう。
茶葉の量はカテキンの時と同じ100mlに1gです。
ふつうのいれ方はティースプーン2杯3gにお湯250ml等と言われているので、それで計算してもらえれば茶葉個体のカフェイン量の差はあれど、余裕をもっておよそ10杯(約1.5ℓ程度)くらいになりますかね。
ちなみに紅茶は煎茶より20%くらいカフェインが多いそうです。
ただ、テアニンはカフェインの興奮作用をセーブしてくれる働きがあるそうなので、飲み過ぎてもコーヒーほど心配はいらないとのこと。
紅茶はややテアニンが少ないのでちょっと気を付けた方がいいかもしれませんが…。
一応平均的なカフェインの量は玉露や抹茶(は比較的カフェインが多い)は2〜3%、コーヒーが1.3%で、コーヒーは抽出時に使う豆の量が茶の3倍以上になっているそうで、実は普通に淹れたお茶でもコーヒーと同じかそれ以上にカフェインを取っているそうです。
テアニン素晴らしいですね。
具体的にどのくらい飲んでも平気とかは書いてないですが、「美味しいから」とお茶をちょっと飲み過ぎてもテアニンのおかげで悪影響は少ないよ、という認識がいいかと思われます。
まとめ
- 温度が下がるとカテキン全般が出にくくなるため、長めに置くのがオススメ
- カフェインの抽出量から見ると、お茶は大体1日10杯、約1.5ℓくらいにしておくのがいいかも
- 紅茶は一般的に言われている茶よりややカフェインが多い+テアニンが少ないので、熱湯の場合は少なめにするか、水出しで飲むのがよさげ
ということでした。
まあ、緑茶は普通に淹れてもらえれば結構なようですが、3分以上抽出すれば少ない量でたくさんのカテキンを取れるみたいですね。
おいしい温度(70℃)とカテキンがたくさん摂れる温度(80℃)はちょっと違う、と覚えておいてもらえればよろしいのではないでしょうか。
少しのカテキンも無駄にしたくない方は参考までに。