砂糖やミルクをいれない紅茶に値段分の価値はないのか? 「ロンネフェルト アイリッシュモルト」
紅茶やミルクティーの話題が出るたびにいつも気にしてしまうことといえば、やはり「よく言われている紅茶の香りって砂糖の香りだよね」というお話。
よく紅茶飲料のレビュー等で「しっかりした紅茶の香りがする」と書いてありますよね。
が、試しに砂糖の袋なんかを嗅いでみるとわかりますが、実際は紅茶の香りではないことがほとんどです。
コーヒーはこれでいいんです。
こちらの記事に書いたように、コーヒーは味や香りが活きているので「スタバでラテを買いに行って、コーヒーのうまさを覚えた」ということが起こりますので(コーヒー好きからしたら「全然活きてない!」と言われるかもしれませんが)。
つまり、来て、飲んでさえもらえればコーヒーの味について分かってもらえるわけですね。
ラテから甘さやらミルクやらを抜いた味にある程度近いものですし。
カフェオレブレンドなんかは、もう豆の段階で8〜9割くらい味が完成されていて驚きました。
コーヒーってここまでできちゃうのか…みたいな。
が、紅茶は砂糖やミルクを抜いてもそうはいかないのであります。
未加工の茶葉の時点であそこまで香りがするものはほぼありません。
もちろんお湯を注いだとしても。
つまり、紅茶は、来て飲んでもらっても味について分かってもらえないどころか嫌われる可能性が高い飲み物といえるわけですね。
なぜなら、コーヒーと違ってほとんど面影がないので。
例えるなら、異国の料理がとてもおいしかったからその国へ行ったものの、全然似ても似つかない味でガッカリした(つまり日本人好みにアレンジされていたからおいしかった)という感じですかね。
それだけで旅行自体の楽しさがガタ落ちしますよね。
ちなみに旅行好きの先輩から聞いたんですが、日本のインドカレーはとてもおいしいですが、現地のカレーはあそこまでしっかり味がついたものはほぼなく、やはり日本のインド料理店で食べるからおいしいそうです。
当然、探せばおいしいところもあると思いますけど、「適当に店に入ったけど、思ったよりうまかった!」なんてことは稀だそうな。
日本に輸入されたインドカレーのように、もはや「ミルクティーは紅茶ではない別のジャンル」とも言えましょう。
いや、歴史を見ればストレートティーの方がぶっちぎりの少数派で新手のジャンルではありますが…。
で、それは非常に悲しいことではあるんですが、では結局のところ、「紅茶は砂糖たっぷりのミルクを薄めるために存在するだけで、単体では価値はない・役に立たないのか」と言われれば、決してそんなことはないと思います。
今回紹介するロンネフェルト アイリッシュモルトがそれを教えてくれます。
この紅茶は「砂糖やミルクを入れた方がおいしいと広く言われているけど、実は全くの逆で、ストレートの方がおいしい紅茶」の代表的な存在だからであります。
また、同時に砂糖とミルクがいかに強力かが分かってしまう紅茶でもあります。
砂糖とミルクが入っていれば「コクがある」「しっかりと紅茶の味や香りがする」と言われてしまいますからね。
カフェオレブレンドが豆の時点で9割味が完成されているならば、ミルクティーは砂糖とミルクで9割味が完成されていると言っても過言ではありません。
何が言いたいかというと、結局のところ、砂糖やミルクが好きな人もいると思うのでそれぞれの飲み方はあると思うんですが、今回は、とにかくアイリッシュモルトをミルクティーにして飲むことほどもったいないことはない!という話がしたいのであります。
せっかくなので、1800円という値段分の味を楽しんでみたいと思いませんか?
というか、みなさんはアイリッシュモルトを1800円の値段相応だと感じておられるでしょうか?
もし感じていないのであれば、それはアイリッシュモルトが微妙なのではなく、作り方が間違っているのかもしれませんので、少々お付き合いくださいませ。
ミルクティー向きの紅茶!は正か否か
アイリッシュモルトはアッサムベースにカカオとウィスキーの香りがついたフレーバーティーです。
まあ、カカオとは書いてあるんですが、はっきり分かる香りはバニラのような甘そうな感じなので、ウィスキー入りのミルクチョコレートのような香りと言った方が納得してもらえるかもしれません。
香りだけでも甘さは感じられます。
アイリッシュモルトのポイントとしては、アッサムベースなのであまり熱湯には向いておらず香り自体も飛びやすいほうなので、一般的に推奨されている熱湯やミルクティーにすると大きくその魅力を損なう、という点です。
2000円近い価格帯では珍しく、熱湯でいれた出涸らしの茶葉にアイリッシュモルトの香りがほとんど残っていません(香りが移るかは別として、1回熱湯でいれてもまだ香りがする茶葉がほとんど)。
なので、他のフレーバーティーよりも特に香りを大切にしてあげるべきだと思います。
また、あんまりこういうことを言うべきではないかもしれませんが、「ミルクティーによく合う」というよりは「熱湯でいれてしまったら、ミルクティーにせざるを得ない」という感じですので、「評判の割には…」という印象を抱く人もいるかもしれません。
後述しますが、水出しにするとチョコレート好きにはたまらないおいしい紅茶が作れるので、決しておいしくないわけではないんですよ。
ミルクと砂糖を入れればそこそこよい味にはなるんですが、わざわざ2000円近くもする紅茶を買って、かつこんなに素敵な香りを飛ばしてまで作るべきか?というと…。
その役割は100g500円の紅茶でもできてしまうので、「わざわざiPadを買ったのに目覚ましにしか使ってない」みたいな、そんなもったいなさを感じてしまいますね。
いい香りの紅茶は熱を加えないほうがいいと思います
ミルクチョコレートのような香りとは言いましたが、紅茶はその香りを表現するのが難しいのが悩みどころ。
人によっては「こんなサラサラの液体をチョコとは思えない」という人もいますので…。
それはいいとして、肝心のアイリッシュモルトのいれ方はといいますと、エビアン:軟水か水道水=1:1の水出し紅茶にするのがオススメで、熱湯は激しく非推奨であります(熱湯がおいしければ、おそらくミルクティー用として売られてはいないはず)。
他の紅茶だと硬水100%の水出しでも悪くないものもありますが、アイリッシュモルトでそれをやるとぼんやりしている割には意外と渋い…といった微妙な味になってしまいました。
まあ、「渋み」という味は単体だとイマイチですが、チョコレートやコンソメスープ、ボロネーゼなどあって然るべき場所に収まっていればうまみにはなるわけなので、硬水が多すぎると思ったよりチョコレート感が出ない、ということなんでしょうかね。
軟水100%では言わずもがな。
なので、エビアンと混ぜて作っていただくのが非常にオススメです。
ちなみに、「砂糖を入れないミルクティーにもしてみたい」「水出しでもまだ濃いな」という方もいらっしゃると思うので紹介しておくと、作ったミルクティーを冷蔵庫に7〜8時間いれて常温より少しだけ冷たいくらいにすると、思いのほか良好なものが出来上がりました。
砂糖を入れず、特濃ミルクを使い、茶葉2倍で5〜7分くらい。
ただ、すぐには飲めないんで、結局待たなければならないんだったら水出しで48時間の方がいいような気もしますね。
本当にほんのり香りがする程度なので「どうしても水出しは嫌だ!」というのでもなければ、基本的に熱を加えないやり方で作っていただくのがオススメです。
まとめ
- エビアン:軟水か水道水=1:1の水出しで、200mlあたりにメジャー1杯か茶葉3g(大さじスプーンすりきり1)、抽出時間は24〜48時間
ミルクティーにする場合は
- 特濃のミルクを用意し、ミルクと沸騰させたお湯の割合=1:2。茶葉の量は倍にして使う。お湯が400mlならば茶葉4杯、ミルクが200ml
- 抽出時間は5〜7分(ミルクは茶が抽出し終わってから入れる)、その後冷蔵庫か何かで常温かそれ以下まで冷やす
という感じでした。
私も小さい頃においしいミルクティーを飲んで、紅茶の香りだと思っていたのが実はメープルシロップだったと知った時は驚きましたね。
よくレビューや口コミにある「この茶葉美味しい!」は砂糖をしっかり入れての話かもしれないので、お気をつけていただければと思います。
まあ、もちろん砂糖入りのミルクティーでもおいしければいいのかもしれませんが、冒頭で話した通り、少なくとも甘味やスイーツを使った紅茶専門店が出てきても、かつてのスタバをはじめとしたコーヒーのような盛り上がり方はしないかと思いますね…。
コーヒーのように面影があれば別かもしれませんが、ほぼないも同然ですからねぇ。
まあ、「砂糖の入ったラテを飲んでコーヒーに味をしめた人が世界中にいるなら、紅茶も同じようにミルクティーにすればいいんだ!」とは、ならないかと。
ということで、紅茶がイマイチ盛り上がらないのはいろいろと理由があるはずですが、私は地道に続けていこうかと思います。
まあ、何にでも砂糖を入れて解決しようとするのは待て!ということで。
ちなみに袋が長いので、茶葉を取り出す際は大さじスプーンを使っていただくとかなり捗ります。
すりきりでちょうど3g(だいたい2.8gくらい)にもなりますんで。