old reliable tea

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ストレートティーについて考えるブログ

20180421162403

続・水出し紅茶で食中毒になる可能性はどこまであるのか?

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第1回についてはこちらからどうぞ。

 

tanabu.hatenablog.com

 

 

普通の部屋と同じ温度で放置したら、どれだけ菌は増えるのか?

最近は紅茶のストックを消費するためにあまり新しいものは購入していないので、本や実験を読みあさっています。

 

すると、水出しで作る冷茶の保存性を検証した研究を見つけました。

 

実験は抹茶入り玄米茶やティーバッグの紅茶、麦茶などを集めてそれぞれ水出しと熱湯で抽出し、それを20℃と35℃で保存して菌がどのくらい増えるのか?を調べてくれています。

 

条件としては

 

  • 水出しは冷蔵庫で滅菌水1リットルに12時間ティーバッグ(商品によって5gもしくは10g)を入れてから取り出したものを保存
  • 熱湯は沸騰直後の滅菌水1リットルに5分間ティーバッグを入れたものを室温まで冷却後、冷蔵庫で12時間保存
  • その後、それぞれの茶100mlずつを滅菌フラスコに入れ、20℃と35℃で3時間、6時間、12時間、24時間ごとに菌を測定

 

といった具合。

 

要は、比較的涼しい日と暑い日の室温に放置したら茶の菌はどうなるの?といった感じですかね。

 

また、冷蔵庫で作った場合の菌の増殖も書かれております。

 

今まで、水出しでも3〜5時間程度おけば70℃3分と同じくらいのカテキンが出るらしいから心配ないのでは?と書いてきましたが、具体的に調べられたものはそんなにありませんでしたので、これはありがたいですね。

 

最後はどうしても「私や友人もこれまで水出し紅茶で腹を壊したことはない!」みたいな経験則になってしまいますからねぇ。

 

冷蔵庫に入れて作り、6時間以内に飲めば問題はナシ

結果どうだったかと言いますと

 

  • 熱湯で作った茶は3時間〜24時間の間、菌の増殖はなし
  • 水出し茶は20℃、35℃両者で時間の増加と共に菌の増殖が見られた
  • いくつかの商品(緑茶、花びらやフルーツの入っているもの)は、もともと菌が付着していた

 

とのこと。

 

これを見るとやっぱり水出し紅茶は菌が増える!危険!!といわれるかもしれませんが、

 

  • 冷蔵庫に入れた状態では菌は増えていない(付着していなければ0のまま)
  • 20℃、12時間を超えたあたりから元の倍程度まで増える(20℃6時間ならば冷蔵庫に入れた状態とほぼ変わらず)
  • 35℃だと12時間目から腐敗が始まる(ものもある)

 

といった感じだそう。

 

つまり、(常温で水出し茶を作るのはおいしくないのでそもそも論外として)冷蔵庫で作った水出し茶も

 

  • 万全を期すなら6時間以内で、遅くとも12時間以内(これを超えると菌の増加が加速する)で飲み切った方がよい

 

という感じでしょうか。

 

当然これは20℃で放置した場合なので、35℃(実験上は6時間置いてもさほど菌は増えていない茶が多いですが)ならば更に早くに飲みきってもらえれば特に問題はない、といえそうです。

 

また、あくまで今回は12時間冷蔵庫で抽出したものなので、私が推奨している36時間や48時間で置いた茶がどんな動向を見せるかはわかりません。

 

置けば味は濃くなるので殺菌成分はより働いてくれそうな気はしますが、何とも…。

 

ちなみに「熱風を吹きかけて作る紅茶」「高温で焙煎する麦茶」はいいそうですが、緑茶には菌が多い可能性があるそう。

 

研究者によると

 

一般に麦茶は原料麦を焙煎機に入れ200℃を超える高温で処理するため、その工程で原料に付着していた菌が死滅したと考えられた。また原料料が緑茶のものは烏龍茶に比較すると多くの菌が検出された。沢村らは荒茶(仕上げ加工される前の茶)、烏龍茶、紅茶の一般生菌数を測定し、荒茶から多くの菌を検出したことを報告し、その理由として蒸熱工程を含む緑茶特有の工程が起因していると推測している。

また今回試験に用いたフレーバーティー(その他)のほとんどが多くの微生物で汚染されていることが分かった。これらの茶種には花びらやフルーツなど茶葉以外のものが含まれており、それら由来の菌に汚染されたと考えられた。以上より、原材料である茶葉の微生物汚染は製茶方法と関連し、多くの茶葉には細菌やカビが存在していることがわかった。 このため、調製する茶浸出液には茶葉等由来の細菌やカビが混入する可能性があり、茶浸出液を不適切に保存することによって菌が増殖し、衛生上好ましくない状態になると考えられた。

 

紅茶については上記には書かれていませんが、紅茶協会の本によりますと「区分けの前、一番最後の工程として100℃の熱風を吹きかけ、水分が3〜4%になるまで乾燥させる」とあるので、工場自体が汚染されていて…というわけではなさそう。

 

また

 

保存温度が5°Cの場合すべての水出し紅茶中で菌は増殖しなかった。しかし保存温度が35°Cの場合、無添加の水出し紅茶で著しい菌数の増加がみられ、さらにショ糖添加の水出し紅茶では無添加を上回った。しかしレモン果汁液を添加すると菌の増殖は抑制されて、0.25ml添加でほとんど増殖が認められなくなった。

 

とのことで、液が酸性だからオレンジジュースやスポーツドリンクでは菌は増えにくい、というのと同じみたいですね。

 

まあ、菌や微生物が付いているとはいえ「増殖していなくても飲んだら危険なので、そもそも水出し茶にしてはいけない!」とは書かれておらず、あくまで保存はしっかりせよという話なので、とりあえず「水出し紅茶自体はさほど心配不要」といったところでしょうか。

 

独りよがりの空論でないことが分かってよかったです。

 

おいしい水出し紅茶は「少なくともポットの80%の分量」で「48〜72時間」置こう!

以前は飲みにくくなることも考慮して「とりあえず24時間で」と紹介していたんですが、それはどうやらやり方が悪かっただけのようです。

 

どういうことかと言いますと、1リットルのポットに500mlとか600ml作ると香りがイマイチ薄い割に渋い紅茶ができることを最近発見しましてその作り方だと何十時間置いても香りが弱いままなんですよ。

 

で、私はそれを「茶が濃すぎるから甘みや香りが分かりにくいのかも…」と思っていたんですが、どうも違うようでして、紅茶によって茶葉がほとんど上に浮いたり下に沈んだり様々ですが、ポットいっぱいに茶を作った方が明らかにおいしいことが多いんですよ。

 

最初に買ったときは1リットルポットでたくさん作るので、うまいかどうかが分かって問題ないんですが、2回目、3回目に少量作ると「こんな味だったっけ…?」となることが何度かありまして、今思えば、たしかにポットの半分くらいしか作ってなかったかもなぁと…。

 

つまり、水出し紅茶を作るならば、少なくともポットの80%くらいの分量は作った方が味がよくなるっぽい、ということですね。

 

やはり渋みのせいで味を感じにくくなっているんでしょうか…?

 

と、原因がハッキリしないのが非常にモヤモヤいたしますが、その具体的な作り方を申しますと

 

  • ほしい茶の量と同じだけのポットを用意する
  • 水の割合はいつも通りのエビアン:軟水か水道水=1:1
  • 茶葉の量は600mlのポットならば大さじスプーンすりきり3杯半〜4杯
  • 抽出時間は48〜72時間(フレーバー系は48時間、ノンフレーバードは60時間くらいがおすすめ。60時間も72時間もさほど味に差はない気もする)

 

です。

 

こうすると茶葉のほとんどが浮いたり沈んだして均等に分布しないせいか、若干抽出に時間がかかりますが、出来上がった紅茶の味はスバラシイものがあります。

 

この茶葉の分布や動向に関しては特にノータッチで、茶葉の行きたい方向に行かせるのがよいかと思います(茶葉を入れて水を注いだら、浮いても沈んでも放置。混ぜたりもしない)。

 

これで香りも甘みも濃厚な紅茶が作れます。

 

ちなみに、以前パラダイスやエディアールのレッドフルーツの茶葉を混ぜたところ、明らかに色が濃くて香りがよく分からない、控えめに言ってもかなり酷い茶になりました。

 

ご注意ください…。

 

また、上記の研究においても水出し紅茶は

 

水出し茶は、お湯出しのようにお湯を沸騰させる手間がいらず、水にティーバッグを入れるだけでお茶を作ることができるので、忙しい人にとってはとても都合が良い。また、水出し茶は、渋み成分であるタンニンの抽出が少なく、旨み成分であるアミノ酸が抽出されるため味がよく、色も綺麗という特徴もある。坂本らは温度を変えて成分の溶出特性を検討した結果、5℃で 10分間浸出の煎液にはアミノ酸類(アスパラギン酸グルタミン酸、テアニンなど)やペクチンがよく溶出し、 茶の濃厚な甘味と旨味に寄与していると推察している。 このように冷水による抽出(水出し)は茶の美味しい入れ方の一つと言えるが、一方、茶浸出液の衛生面を考えた場合、水出しはお湯出しのような加熱操作を伴わないため、水や茶葉の殺菌ができず安全性に不安が持たれる。

そこで、冷蔵庫等で冷やしてから飲む冷茶の衛生について調査を行った。

 

と、よい抽出方法だ、と記されています。

 

おいしいですもんね。

 

そして、1リットル用ポットだと非常に場所を取る上に一度にたくさん作らなければならない(おそらく1リットル用でもいっぱい作れば同じ味にはなるはず)ですが、小さいポットだとそれらのいろいろな問題が解決できるかと思います。

 

 

 

 

 

 500ml用とありますが、満タンまで入れると600ml程度になります。

 

私もいろいろな紅茶を買ったときはちょっとずつ味見をしたい派(毎回1リットルはちょっともったいないような気もしている)なので、非常に便利であります。

 

紅茶に興味をもって新たにポットを買おうかと思っている方は、1リットル用よりも600mlあたりがおすすめです。

 

まとめ

 

  • 中には僅かに菌が付着している茶もあるようだが、冷蔵庫で作る分には問題ない
  • いずれにせよ、水出し茶は6〜12時間以内で飲み切るのがよさそう

 

冷蔵庫から出したてでもしっかり味のする濃厚な紅茶は

 

  • いつも飲む茶の量と同じ量のポットを用意する
  • 水の割合はエビアン:軟水か水道水=1:1
  • 茶葉の量は、例えば600mlのポットならば大さじスプーンすりきり3杯半〜4杯(茶葉の大きさ等によって挙動が変わるが気にしない)
  • 抽出時間は48〜72(48時間の時点で一度味見をするのがおすすめ)時間

 

という感じです。

 

最近はある種の実験味が強くなってきたためか1リットル用ポットに半分くらい作って評価を下すことが多かったんですが(最初おいしいと思ったけど気のせいか?みたいな)、小さめのポットで作るようにしてから「紅茶ってやっぱりおいしいんだなー」という初心を思い出しました。

 

それが原点でしたからね。

 

ちなみに今回のように小さいポットで作った方がおいしい紅茶を挙げると

 

 

であります。

 

また、フレーバー系は48時間(72時間だとやや渋くなる)、ノンフレーバードは48時間で様子を見つつ72時間(60時間くらいでも十分かも)とどちらがよいか調整、と覚えておいていただければ。

 

暑い季節に水出し紅茶を作る際は、ぜひ参考にしてくださいませ。