いくら探してもおいしいアールグレイにたどり着けないのは一体なぜ? 「ルピシア ナツコイ」
今回登場するお茶
・ルピシア ナツコイ
今回紹介するいれ方
・軟水のみの水出し
・エビアンと軟水を使った水出し
- つまり、ベルガモット強めのよいアールグレイである(アールグレイじゃないけど)
- おいしいアールグレイにはアールグレイという名前が付いていないのだ
- 価格・味等から総評してアールグレイ系統の決定版になるかも
- まとめ
- 長き旅の終わり
大抵の紅茶は使う水によって味が変わり、片方がおいしく片方がイマイチ…ということがほとんどでありまして、その理由は「とても苦くなるから」「香りが薄くなるから」でありますが、何とも不思議なことにどちらでも(軟水を使っても硬水を使っても)アリな紅茶を発見してしまいました。
どちらでも…というのは、苦くても香りが活かされていてもよろしい味になるということでして、単純にどちらのいれ方でもそれぞれ違ったうまさがある、ということであります。
うまさがあるというか、様々な側面を見せてくれるというか。
で、なぜそんなことが起きるかといいますと、今回紹介するその紅茶はちょっと若いレモンやライム、ベルガモットのような香りであり、苦みがあっても何ら不自然ではない香りと味だからです。
もちろんそれらの果物は苦みがなくてもおいしいので、苦くても、苦くなくてもOKなんだ、と。
そんな、「お茶にとっては短所になりうる苦み」さえもうまく活かしてくれる紅茶は何か?といいますと「ルピシア ナツコイ」であります。
人によって苦くもあり、また良き思い出でもある「恋」のように苦くも爽やかにもなる、名前の通りの不思議な紅茶となっています。
つまり、ベルガモット強めのよいアールグレイである(アールグレイじゃないけど)
ナツコイはレモンピールとピーチピールの入ったフレーバーティーでありまして、「夏」「恋」というワードが入っていることから比較的味を想像しやすいというか、そこまで大きくイメージと違うことは少ないかと思われます。
「甘酸っぱい夏の恋」なんて言ったりするので、だいたいレモンやナツミカンを思い浮かべるのではないでしょうか。
それで合っております。
ナツコイ:レモンをぎゅっと搾ったような果汁感あふれる香りを紅茶にブレンド。アイスティーも引き立つすっきりと爽やかな風味は、せつなくも甘酸っぱい夏の恋のよう。
まあ、香り自体はレモンというよりスプライト、ライムのような若いレモンのような感じでありまして、この香りが紅茶に着いたらうまいだろうなぁと素直に思える香りで、自分がそこそこ近いなと思ったのがベルガモットマーマレードですかね。
(貴様の好みなぞ知らん!と言われるかもしれませんが)私が紅茶を飲み始めて間もない頃に思い描いていた理想のアールグレイはこんな味だったかもしれません。
柑橘系の中では特にベルガモットやレモン感が強く、かなりおいしい方だと思われます。
まあ、生のベルガモットを食べたことはないんですが(苦くて食えたものじゃないそう)、レモン強めのアールグレイみたいな認識だとよろしいのではないでしょうか。
期間限定なのでたくさん作るのは不可能なのかもしれませんが、これをアールグレイとして販売していれば大分紅茶へのイメージも向上したんじゃなかろうか…?とも思えるくらいによい香りであります。
おいしいアールグレイにはアールグレイという名前が付いていないのだ
ということで、タイトルの「なぜおいしいアールグレイが見つからないのか!」に答えを出すならば、「おいしいアールグレイにはアールグレイという名前が付いてないから」ですかね。
ベルガモットは入っていないっぽいですが、(マーマレードを食べた感じだと)おそらくベルガモットそのものを使ってもこんな味にはならないような気がします。
ちなみに、これと似たようなことは料理なんかでも確認されていることでして、例を挙げるならば、岩手に「くずまきワイン」というおいしいワインがあるんですが、そこの2000円くらいの白ワインにりんご果汁が入っているものがあったんですね(買ってから気付いたんですが)。
(私はワインは全然詳しくないので分かりませんが)ツウからしたらりんご果汁を入れるのは邪道なのかもしれませんが、そのワインが以前にAmazonか何かで6000円くらいで買った白ワインにちょっと近いものがありまして、「高いワインの味は、ぶどうにほんのちょっとのりんごを足した感じかぁ」と驚き、感心した記憶があります。
ぶどう自体でもそうですよね。
単に甘いだけの普通のぶどうだったら「まあ、ぶどうだよね」で終わりですが、よく噛むと次第にパイナップルのような香りもするし、オレンジのような甘さもある、みたいな複雑な味のぶどうだったら「また食べたい!」となりますよね。
何というか、いろいろな果物の香りを使ってベルガモットの香りを作ったら、予想より遥かに素晴らしいものができました!と言われても納得できるお味であります。
価格・味等から総評してアールグレイ系統の決定版になるかも
冒頭でも述べましたように、たいていの紅茶は苦くなるとおいしくなくなるわけですが、ナツコイはほろ苦いレモン味か爽やかなレモン味を選べます。
- ほろ苦い!:軟水か水道水100%で茶葉3gあたり200ml(600mlに茶葉3杯)
- 爽やか!:エビアン:軟水か水道水=1:1で、3gあたり150〜180ml(600mlに茶葉3杯半〜4杯くらい)
です。
前者はやや苦いので、600mlに3杯程度とやや薄めがいいかもしれませんね。
「ナツコイ」というとどうしても昔のことを思い出してしまうかと思いますが、「苦い思い出ではあるがよい経験になった」ならば苦く、「本当に楽しかったことを懐かしんだり、これから思い出を作ろう!」という場合は爽やかにして飲む…などしていただければよいのではないでしょうか。
ちなみに、ミルクティーなんかでもそうですが、ご年配の方は紅茶やミルクティーを出すと思い出等を語ってくれることが多いような気がしますね。
私は結構そういう話を聞くのは好きなんですよ。
「高校生の頃、熱を出した時にクラスメイトの女の子が作ってくれたミルクティーはおいしかったなぁ…いちごのジャムが入ってたかな」とか「あの頃は紅茶っていうと高級品でね。初めて紅茶を飲んだ時はこんなにうまいものがあるのか!って驚いたわね」みたいな、普通に聞いたらおそらく答えてくれなさそうなことでも、紅茶があると結構上手いこといくような気がします(笑)
我々って、やはり50〜60年前に起こったこととか生まれる前のことってよく知らないですし、変に知ったかぶりをするのも何だか気持ち悪いじゃないですか。
しかも頑張って合わせようとすると、無理をしているのが顔に出て不信感につながるそうです(話すことがない!次何言おう?に意識が向いてしまって、会話に集中できなくなるそう)。
そんな時は「アドバイス・シーキング」という、相手にアドバイスを求める・教えてくださいというスタンスでいくと仲良くなれるというテクニックがあるそうなんですが、これ使えますよね?
なぜかというと、紅茶を出すことによって、相手は自分の過去や感情を語っているわけじゃないですか。
つまり、関心や興味があることを自らカミングアウトしてくれている、ということですよね?
まさか「こんなにうまいものがあるなんて!」と言いつつ興味はまったくない、なんてことはないですよね…?
そして極めつけは「夏」「恋」ですよ。
とくに「恋」は世のほとんどの人が共通で持っている関心でありましょう。
異性以外でも、例えば紅茶や車、ネコなんかが大好きな人もある意味「恋」と言っていいわけじゃないですか。
人と仲良くなりたければ早い段階で深い話題を共有しよう!みたいな話もあるので、もうちょっとカスタマイズして使いやすくすれば、紅茶によって円滑なコミニュケーションを取ることも可能かもしれませんね。
というか、私はスラスラした会話が苦手なほうなので、紅茶を導入部にできると相手と対等に自信を持って会話ができるようになるかもしれません。
話が逸れましたが、名前は「ナツコイ」でもいいと思うんですが、素敵な恋を思い出したいとかあの頃に戻りたい!みたいな方だけでなく、紅茶を嗜む多くの人におすすめできます。
「アールグレイは何を買おう?」と迷った人にはとりあえずおすすめ!としたいくらいに、よいフレーバーティーでありました。
まとめ
紅茶のいれ方は
- ほろ苦いナツコイは、軟水か水道水100%の水出し紅茶で、茶葉3gあたり200ml(600mlに茶葉3杯)、冷蔵庫で48時間(24時間だと薄く、72時間は濃すぎる)
- ベルガモットティーのような爽やかなナツコイは、エビアン:軟水か水道水=1:1の水出し紅茶で、茶葉3gあたり150〜180ml(600mlに茶葉3杯半〜4杯)、冷蔵庫で48時間(こちらも同じく)
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熱湯で作っても悪くはないが、水出しが圧倒的であるためもったいない
という感じでした。
過去にアールグレイの記事なんかも書いていますが、その中に追加でおすすめとしてもよさそうな味であります。
というか、多くのアールグレイはあんまり柑橘が効いていないというか、皮を絞った汁を渋くした茶に入れたような感じがするので、純粋にフルーツが好きな人からするとかなり違和感があるかと思われます。
ベルガモットの方がレモンやライムより明らかに苦いはずなのに、そのベルガモットの香りと茶の苦みが共存できていないというのは、ベルガモットは紅茶の香り着けとしてベストではないのかもしれません…。
まあ、茶は苦くないといけない!という人は昔からいるので、そういう方には今の紅茶はいいんでしょうけど、せっかくおいしい紅茶もたくさんありますからね。
長き旅の終わり
そういえば、苦いといえばルピシアで一番人気であるらしい白桃煎茶、白桃烏龍茶も飲んでみたんですが、白桃の香りは液には全く乗っておらず、そこそこいい煎茶という感じでした(烏龍はより茶の味も香りも薄め。桃系のフレーバーは難しいのか?)。
普通に売っている甘めの緑茶「やぶきた」よりも苦みが効いた味で、(もしかしたらやぶきたなのかもしれませんが)この白桃煎茶が好まれているというのは緑茶業界にとってはそこそこいいことなんじゃないでしょうか?
なぜなら、大量生産でない緑茶の味に近いものが評価されているわけですからね。
やっぱりみんな煎茶が好きなんだね!みたいな。
いい緑茶を求めている人は意外と多いのかもしれません。
また、フレーバーティーの話をすると「ルピシアを評価している人はお茶初心者で、フォートナム&メイソンやマリアージュフレールこそが…」みたいな意見がたまにありますが、決してそんなことはないと思いますねー。
なぜなら、ノンフレーバードで言えば50g540円とか790円、つまり100g1500円だとかなり微妙なランクになりまして、その価格帯でおいしいのはフォションのモーニングくらいだからです。
やはり、お茶の香りを追求するなら1800円くらいは必要かと…。
なので、ルピシアの茶葉の質が取り立てて悪いとか、まだ味の分からない初心者向け等ではなく、ただ値段相応なだけなんだと思いますよ。
それにルピシアの紅茶をまずく作れる条件は、たいていの紅茶をまずく作る条件と完全に一致しますんで、同じ作り方をしたら大抵どっこいどっこいであります。
ルピシアの紅茶をおいしく作れる条件も然り。
まあ、沸騰直後の熱湯でいれても渋くなりにくいフォートナム&メイソンやマリアージュフレールの方が、相対的においしいと感じるのかもしれません。
でもフォートナム&メイソンのアールグレイよりナツコイの方が絶対おいしいと思いますけどねぇ…。
ちなみに、今までルピシアでおいしかったものは
- パラダイス
- アラビアンナイト(他に比べるとちょっと惜しい)
- オルヅォ チョコラータ(ちょっといいパン屋さんのチョココロネの中身みたい)
- パイナップル麦茶
- ナツコイ
- ファルファローネ
- カシス&ブルーベリー
- 甜茶 ローズヒップ
- 黄金桂…など
微妙だったものは
- ニルギリ(540円)
- ハブカル
- コダナド
- アッサム カルカッタオークション
- アッサムCTC
- ユニオンジャック
- アフタヌーンティー
- シロニバリ
- ダージリンファーストフラッシュ(50g1150円)
- オータムナル (50g2600円くらい)
- キャッスルトン FTGFOP
- 柚子ショコラ
- 津軽りんご
- 白桃(紅茶)
- 白桃煎茶
- 白桃烏龍茶
- ジュテーム系…など
でしょうか。
結構買ってますねー笑
おいしかった紅茶は今年の5〜8月までのカタログにあるものを無造作に選んでいただけですが、なかなかアタリが多かった気がしますね。
偶然か、カタログのものはハズレなしなのか分かりませんが。
また、微妙とは書きましたが、決して「飲めたもんじゃない」とかではなく、同価格帯商品との違いがよく分からない・特筆して買う理由がないという感じで、おいしさやその茶葉の個性を追求する私のスタイルとは合致しないというか。
やっぱりおいしかった茶葉と比べてしまうのもあります。
まあ、オータムナルと津軽りんご、白桃(紅茶)の3つはもうちょっと頑張ってほしかった感じもしますが…。
「これが好きな人もいるかもな」とすら思えなかったというか…。
とまあ、いろいろ申しましたが結論、ルピシアにも普通においしい紅茶はありますよ!そんなに心配しなくていいよ!ということでいかがでしょうか。
「紅茶初心者」とか「真の紅茶通は…」みたいなのは気にしなくてもよいかと。
ただ、ルピシアをはじめ紅茶をおいしく作ることができるのは「大自然が我々に与えて下さったエビアン」の活躍あってのことなので、買い忘れることのなきよう…。
いつか採水地の、エヴィアン=レ=バンにお参りに行きたいですね。
「おいしい紅茶を作る条件:水編」については、どうやら、一応の終着点につくことができたようです。