old reliable tea

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ストレートティーについて考えるブログ

20180421162403

「ジャンピング」って必ず起こらないといけないの?について

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今回は「ジャンピングって起こった方がいいの?」という話を、根拠をもってお話したいと思います。

 

ジャンピングについての記事は何度か書いているんですが、個人的な意見ばかりと偏見で説得力に欠けていたため、事実に基づいてお話しようかと。

 

結論は変わっていませんのでご安心を。

 

紅茶をおいしくする3つのルール

結論から言えば「ジャンピングは起こらなくてもいい」ということになりますが、もっと深く理解できるよう「紅茶をおいしくいれるルール」について先にお話ししておきます。

 

最近、ようやく紅茶についてのルールを(β版ではありますが)確立しました。

 

tanabu.hatenablog.com

 

その3つのルールは

 

  • ティーポットを使うこと
  • エビアンと軟水を混ぜて使うこと
  • 変えるのは温度だけ

 

です。

 

上記の記事を短縮して説明すると、ティーポットを使う主な理由は

 

  • ティーポットでなければリーフを扱うのが大変!
  • マグカップや紙コップは冷めやすい!

 

ということで、リーフの方がおいしい茶葉が多いというのと、狙った温度を作るのが難しいという感じなんですが、シンプルに「ちゃんとした茶道具を使おう」程度の認識でOKです。

 

温度が低ければ長い間浸けておけばいいのでは?と思うかもしれませんが、マグカップ等の「徐々に温度が下がっていく」というのがよくないようで、なるべく一定に保ってあげるとおいしくなります。

 

次のエビアンと軟水を混ぜて使う、というのは

 

  • 熱湯はエビアン:軟水が3:7、水出しは1:1
  • 苦渋味のもとになるカフェインやタンニンは80℃を超えるとたくさん抽出される!(なので先にエビアンを入れて冷ます)
  • 多少の硬度があると、ミネラルがカテキン等の苦渋味成分を無害な塩に変化させてくれるらしい

 

簡単に言えば「全体的に見てアミノ酸が多く、カフェインやタンニンが少ない温度帯は65℃〜75℃程度で5〜7分の抽出時間なので、そこをねらえ」ということです。

 

エビアンを300ml程度注いでから熱湯を入れると大体上記の理想的な温度になるので、簡単かなと。

 

水出しをこの比率にした理由は、はっきりとしたことは言えないのですが、飲んでおいしかったからというのが1番ですかね。

 

軟水の水出し紅茶の口当たりのよさと、硬水の紅茶の甘さ・濃厚さをちょうどいい具合にいいとこ取りできるのが、硬水:軟水=1:1かなと。

 

ちなみに紅茶はタンニンが緑茶の平均約2倍含まれていて、カフェインは平均20%多いそうです。

 

苦渋味成分が紅茶より少ない煎茶でさえ70℃でいれるわけですから、今回のテーマであるジャンピングに関して、ここだけ見ても紅茶を100℃でいれるのはちょっと違うのではないか?と思えますね。

 

アミノ酸は100℃でも十分に出てくるので、それでベストなおいしさであれば緑茶や煎茶を冷ましていれる必要はないような気もします。

 

なので、やはり渋みを避けるための70℃なのでしょうね。 

 

そして最後の温度を変えるというのは

  • 基本のレシピの茶葉と湯量はそのままで、温度だけを変える!
  • 2つ目のルールのエビアン:軟水=3:7と1:1を使う

 

という感じです。

 

抽出時間は箱や缶の通りだとだいたい3〜4分になると思いますが、7分くらいやっても大丈夫なお茶も結構あるので、「基本は」という感じですね。

 

ちなみに、軟水は水道水でOKですが、あまり自宅の水がおいしくないという方はこちらをどうぞ。

 

硬度0です。

 

 

 

ジャンピングよりもジャンピングの起きる温度が問題

本題に入ります。

 

もう上記の話で理解してもらえたかもしれませんが、ジャンピングが起きる温度というのは、実はカフェインやタンニンが最も多くなる温度なんです(ちなみにジャンピングは98℃でないと起こらないようです)。

 

対して、テアニンなどのアミノ酸は100℃でも70℃でも最終的な抽出量の差は10%程度だそう。

 

これは煎茶のデータですが、60℃で抽出したものと90℃で抽出したものを比べると、60℃はアミノ酸とカフェイン、タンニンの量が同じくらいですが、90℃だとカフェインは約1.5倍、タンニンはアミノ酸の2倍以上になります。

 

つまり簡単に言えば、90℃以上で60℃と同じ量のアミノ酸を手に入れようとすると、とてつもなく渋くなってしまうということです。

 

まあ、前述の通りアミノ酸だけが茶のうまみを決めるわけではないですしタンニンやカフェイン量の多寡はありますが、苦渋味というのはうまみや甘みなどをマスクする働きがあるため、ないに越したことはありません。

 

玉ねぎなんかを思い浮かべてもらえば分かりやすいでしょうか。

 

玉ねぎの糖度が高いのは有名な話ですが、辛みや生野菜特有の苦みなんかがあるせいで、かなり甘いはずなのにそうは感じないですよね。

 

玉ねぎの場合おいしくするためには「加熱」が必要ですが、紅茶の場合は「冷却」が必要ということですね。

 

まとめ

 

今回の話を超簡単にまとめると

  • ジャンピングが起こる温度はアミノ酸もたくさん出る!
  • でもカフェインとかタンニンもそれ以上にたくさん出てきて苦い!渋い!
  • エビアンと3つのルールを使って、カフェインとタンニンは少ないけどアミノ酸の多い紅茶を作ってくれ!

 

ということです。

 

まあ、ジャンピングに焦点を当てるとややこしくなってしまうんですが、「沸騰直後の熱湯でおいしくはならない」ということは間接的に「ジャンピングはいらない」というのと同じことになりますよね。

 

なので、タイトルの問いに答えるならば「ジャンピングが起こる温度と紅茶のおいしい温度は違うので、ジャンピングは気にしなくていい」ということになります。

 

これを信じるかどうかは皆さん次第ですが、世の紅茶飲料に甘い物が多いことやお店で出てくる紅茶が薄めなことを考慮すれば、やはり渋みは避けたいものなんだと思います。

 

では、なぜジャンピング、紅茶が熱湯で淹れるのが主流なのかという話ですが、やはりお菓子の影響が大きいからですかね?

 

水出し紅茶やエビアンと割ったお茶は単体だとおいしいですが、フィナンシェとかジャムと一緒に食べるとあまり存在感はないので、「ジャンピングが起こっている=お菓子に合うお茶がはいった」くらいがいいのかもしれません。

 

水出し茶と一緒に食べるならせんべいとか揚げもちみたいな塩分のある物がオススメです。

 

まあ、確かに甘い物を食べる際は飲み物が欲しくはなりますが「コーヒーは味が強すぎるし、緑茶は甘すぎるし、烏龍茶はあんまり売ってないし、炭酸水?は合わないかな…」ということを考えると、ほどよく渋くてお菓子の味を邪魔しない薄めの紅茶なんですかね?

 

コーヒーも緑茶も単体で商品になるような、しっかり味のする物が結構ありますもんね。

 

ということで、ジャンピングは気にしなくていいよ!というお話でした。

 

今まではかなり個人的な意見ばかりを書いていたんですが、どうも説得力に欠けるというかエラそうな感じがあったのでシンプルにまとめました。

 

本の書き方とか読まれるブログの書き方みたいな「はっきりと言い切らないと専門性が伝わらない」とか「人は間違うものだから、不完全な意見でもどんどん書くべき」というのをまだ信じていた頃に書いた記事だったので、微妙な表現等が多かったです。

 

が、やっぱり根拠が大事ですね。

 

これからも根拠をベースにしつついろいろ紹介していきたいと思います。